コビ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
イヤホンで鑑賞して欲しい大人アニメ
大人アニメが観たくなり、こちらの作品にたどり着きました。原作未読の予備知識なしで鑑賞。
内容もさることながら、作画が丁寧で表現がとても細かい。ストローを登ってゆく飲み物の動き、一瞬しか映らない流れる背景。咳き込むその動作、なんて無い話をする時に見せるカップ麺の触り方まで、驚くほど自然に細かな動きをしている。ふとした瞬間に魅せる儚さもいい。その映像に乗せた音楽が心地よく、独特の世界観に誘い込む演出力の高さ。テンポ良く切り替わるカメラワークと緊張感を高める表現効果、意味を含ませたセリフに誘導され、気付かぬ内に物語の中に入り込んでしまう。
【グロ有り】がどの程度かと期待して一章を観てみると、私見はグロいとは思わないレベル。しかし、回を増すごとに内容が濃くなり、グロさも表現力も増していきます。
一章観ただけだと、何が何だか良くわかりません。時間があっち行ってこっち行って。話の中だけでもループがあったりと混乱しますが、回を重ねるごとに話が繋がり、どんどん面白くなっていきます。五章 矛盾螺旋が最も好きな回です。殺人考察の前後もおすすめですよ。
橙子さんがタバコで描いた魔法陣(?)の【F】みたいなやつをどっかで観たことあるな、と思ったら、fateのキャスターが使ってたやつだ!と気付きました。予備知識無しでみていたので、原作者が同じで、世界観が繋がっていると後から知り、納得。その後も関連の写生がいくつか出てきます。
また、黒桐妹の幼少期がfateの凛ちゃんの幼少期にそっくりだったり、五章に出てくる巴がfateの士郎に似ていると感じたのは自分だけでしょうか?
■ネタバレ感想 空の境界全話含
{netabare} 両儀式は文句なく、魅力的なキャラクターで男女から好まれる主人公です。男であっても、女であっても、そのどちらで無くても好きだと言った黒桐 幹也。彼の献身的な行動はいつだって博愛的だった。そして、普通を望んだ彼に登場する女達は皆惹き付けられる。まるでギャルゲーのようだ……。彼女たちを惹き付ける理由もちゃんとある訳だけどね。
式に「今日は泊まっていけ」だの「こっちで(ベッド)寝ろ」だの誘われても、手を出さない?幹也……。彼に肉欲的な精神は無いんだろうか。普通を望むならば、それは普通ではない。最後の最後まで、二人が触れ合う写生は無かった。キスくらいしろよーーー!と、内心叫んだ自分はとことん野暮な人間だ。
回想の手を繋いで歩くという行為に幹也と式の関係性が詰め込まれている。この作品はどこまでも奥深い。
サイコパスなヨダレ先輩も案外よかったなぁ。{/netabare}