M.out さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
素晴らしき「運命」
RADWIMPは運命論者だと思っている。両親とか、DNAとか、いろいろ使って「貴方と私が出会った"奇跡"、"運命"」を「素晴らしいことだ」と、キレイ歌い上げるのがRADWIMPであり、私は好きだ。
そう考えてみると、新海誠は企画当初からRADWIMPの起用を前提としていたような話になっていることが分かる。
入れ替わったり、彗星をアレコレしたりして、またキレイな絵の圧倒的説得力で「運命の人は居るんだよ!」と言ってくれる本作である。
誰でも楽しめる。
{netabare}不思議な「運命」の力を描くのだから、ロジカルに攻めなかった。どのように入れ替わってるかや、どんな人物が入れ替わってるか、はかなり描写しているが、好きになる過程はダイジェストで一気に飛ばす。だから「感情移入できなかった」という人が出るのは当然である。
そのダイジェストに入る前だって、三葉に関しては「田舎嫌だ、都会がいい」と言ってるだけであり、瀧くんに関しては、友人関係とか希薄だし、キャラとして無機質過ぎて感情移入できる部分は少ない。瀧くんには「他人に興味ないだろお前!」と言いたかった。
よって、見方によっては「都会に恋した三葉」と「自分に恋した瀧くん」の恋物語に見えないこともない。三葉は都会への憧れを瀧くんへの恋に勘違いしているだけで、瀧くんが三葉を好きになったのは入れ替わりで三葉も瀧くんの一部と化したから。
流石にこれは、ごめんなさい。穿ち過ぎました。
しかし、恋を「運命」の仕業にすることで、感情の機微を描く必要性がなくなり、誰でも鑑賞可能な大衆性を獲得した。
よって入れ替わったり、時間ずらしてみたり、隕石降らしてみたり、多くの要素を十分に取り入りれたと言えるだろう。
何故入れ替わるのか。それは、隕石落下から生き延びて、瀧くんと三葉が「出会う」ためである。
ちなみに、入れ替わり時点では「出会って」ない。本作のテーマである「運命の出会い」はラストのシーンであり、それまでは運命が不思議な力で事実をねじ曲げる過程を描いたものである。だから「忘れる」のである。夢も同然なわけだ。
偶然にも、大昔に隕石が糸守に落下していたらしく、その時から始まった宮水の血筋の人間は入れ替わりを体験している。
つまり「運命の出会い」が連鎖的に繰り返されて今の私があり、貴方と出会えたのも運命である。と言ってるわけで、この、なんという、ラッド感!
で、話は変わりますが、私が一番好きなシーンは、手のひらの「すきだ」を見るとこです。
ロマンチックというだけでない。
生存を諦めそうになったとき、何を糧とするか。本作は、これから訪れるであろう、あなたとの素晴らしい出会いを力にしろと言うのです。過去の記憶を大切にするように、未来のことも大切にする。
ここにはやられた。
そんなこんなで、運命の赤い糸はあるよ!と言ってくれました。まだ出会わぬ「あなた」を大切に。
{/netabare}