M.out さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
あなたは愛を信じるか
圧倒的傑作。
湯浅政明は万能なのか。いつもは「コミカルで抽象的なバカな絵」だから、エログロでバイオレンスなデビルマンに合うのか不安だったが、そんなの杞憂だった。
「デビル」というのだから悪魔が当然出てくるわけで、悪魔がいるなら神もいるわけだ。本作はキリスト教要素を盛り込んだ、どちらかと言えば知的なアニメに分類されるだろう。
そして、悪魔と人間の中間に位置するもの、それが「デビルマン」である。
悪魔はどうしようもない存在で、色欲、強欲、エトセトラ、もう大罪しかない。人間の敵であり、神の敵であり、悪魔は滅ぼされるべき存在である。
だから、悪魔は負けると相場が決まっているし、そんな悪魔と人間が混ざりあったデビルマンには悲劇しか待ってないのは何となく予想ができる。
しかし、絶望の中であっても希望が繋がっていく。きっと「愛」がそこにある。
{netabare}
悪魔とは何か。それは「わたしの敵」だろう。日常を壊すテロリストでも、ドラッグに溺れる奴でも、ニュースで報道される犯罪者だっていい。私が自然と遠ざける悪行の全てが悪魔の仕業なのだ。
だから、悪魔は何処にだっている。同僚が、隣人が、家族が悪魔かもしれない。はたまた貴方の中にだって悪魔は居るかもしれない。善だけで成り立つ人間なんて何処にもいない。
しかし、本作は悪魔を否定しない。悪魔にだって「愛」があると主張する。
それは、人間の営み全てを祝福することだ。私の中に眠る悪魔さえも、隠さず赦してくれた。
全てを肯定してきた湯浅政明は遂にここまで肯定してみせた。
だから、残るは「信じるかどうか」である。貴方の家族、貴方の友人、そして他人に、愛があると信じることができるのか。
本作の中で、愛という名の希望のバトンはサタンにまで届いた。サタンにだって愛があった。ここまで優しい物語が何処にある。
{/netabare}