sekimayori さんの感想・評価
3.5
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
プロのフレンズについてのメモ
あまりにもおおざっぱな感想ですが、視聴者のテンションのコントロールがプロの技だと思います。
ハリウッドブラックリスト脚本にB級のガワ被せました、みたいな巧みさ。
時系列に引き直せば、
①チープなCGの脱力系・クソアニメ候補の見た目でスタート。
②キャラのディテールと世界観の広がりを匂わせ、固定客をつかむ
③魅力的なキャラを逐次投入し、物語の下地を整える
④謎を膨らませ、邪道と王道を織り混ぜて物語の最終局面へ
⑤大半の謎を回収し、想定された結末に想定以上の形で着地する
視聴者側のテンションを数値化すると、
①30→②75→③85→④100→⑤95 て感じになりそう。
バズったポイントはまず、①と②の落差。
エピソード的には3話あたり。
開始前のビジュアルの時点で好事家しか観ないけど、反面、そういう悪食オタクは考察や発信に熱心。
「自分だけが見つけた価値」を拡散させることへの志向性が高いイメージです。
作品そのものの出来に加え、語った者がインフルエンサーになれるという特権を提示していた。
大多数に切り捨てられつつ、それを逆手に取って起爆剤にするという発想は、確信犯だったのか否か。
で、③あたりで(私みたいな)後追い層が追いつき、ムーブメントとして発展した記憶があります。
しかも、オタクコミュニティーが盛り上がるための燃料に収まらず、作品自体が面白い。
優しいキャラたちと未知の世界を冒険する、心地よさと興奮があった。
1話30分ごとのエピソードの盛り込み方や演出方法、キャラクターの魅力。
最終盤に向けて伏線を小出しにするテンポも小気味いい。
膨れ上がる期待に負けない足腰の強さには、純粋に作り手の技能がハイパーだよなと思わされたり。
④→⑤の物語の収まり方は、ちょっと王道過ぎるくらい王道。
最初のギャップ以外、奇策には絶対打って出ないという制作陣の固い決意を感じます。
次作への期待とあえて未回収の謎を引っ張ることで、あまりにも収まりが良すぎるという贅沢な不満すら感じさせない横綱相撲でした。
もちろん、仮にこういう行程表を思い描いていたとして、実際にやってのけるのが一番すごい。
1クールでのシリーズ構成の美しさだけなら、自分のアニメ体験の中でも極めてハイレベルだと思う。
チープな見た目からの緻密な王道、というパターンは、案外私が通って来なかった道で。
純粋にとても面白い作品でした。
場外で色々あったらしいけど、末永く愛されてほしい。
蛇足。
コノハ博士とギンギツネ推しです。
ドチャクソキャッチーでテンションぶち上げてくるOP、不穏さと寂寥感を振りまいて次回を待ち遠しくさせるEDも、プロ過ぎるプロの犯行。
79点