ヌンサ さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ファイト・クラブ
大好きな今敏監督、唯一のテレビシリーズです。
それまでに制作された劇場アニメから漏れたエピソードやプロットが素になっているということもあって、第3話には「パーフェクトブルー」第5話には「千年女優」第8話には「東京ゴッドファーザー」みを感じます。
僕がイメージする深夜アニメというものは、まさに今作のようなものです。
たまたまチャンネルを合わせて、見てはいけないものを見てしまった感じ。
何が僕をそんな気持ちにさせるのかなと今回考えてみたのですが、
"無音"の多さが原因ではないかと考えるに至りました。ほぼBGMが無く、画面から聞こえてくるのは生活音のみ、みたいな。特に、無音で暗転するときに最も"深夜アニメさ"を感じます。
アナログノイズのエフェクトにも、深夜アニメ感と同時に懐かしさを覚えます。
声優では、三石琴乃さんがいろんな意味(笑)で最高でした。
{netabare}「ファイト・クラブ」におけるタイラー・ダーデンが、{netabare}今作における少年バットでしょうか。タイラー・ダーデンが「ファイト・クラブ」で"全力で生きないと殺すぞ"というメッセージを内包していたように、今作で少年バットは"言い訳してると殴るぞ"{/netabare}というメッセージを視聴者に提示しているのかもしれません。{/netabare}
あるいは逆に、{netabare}ストレスを抱えた現代人が言えない"辛い気持ち"を少年バットが殴ることによって、
社会に顕在化させた{/netabare}と考えることもできます。
さらには、少年バットは{netabare}"仮病の実体化"{/netabare}だと考えても面白いかもしれませんね
(監督がインタビューでそんな感じの話をしていましたし)
ハッキリとストーリーが解決しておらず円環構造になっている所も、
繰り返しの視聴に耐えうる名作アニメの条件を満たしていると思います。
P.S.第10話を見て、改めて{netabare}制作進行という仕事は絶対にやりたくないな{/netabare}と思ってしまいました(悲しい)