chariot さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
荒廃した世界を往くのんびり二人旅。
漫画原作の全12話。
ジャンルは終末物、旅、SF、ある種の日常物。
過去の戦争で文明の滅んだ世界。
チトとユーリは誰もいない荒廃した町をケッテンクラートに乗って旅をする。
何が起こった後なのか分からないまま、ただひたすらに進む少女たちは旅の道中で文明の跡に遭遇する。
滅んだ町と少女ふたり。
非常に簡素な設定で世界を説明することもなく淡々と旅が進んで行きます。
色々な跡と出会い、触れ合い、考え、また進む。
知識欲旺盛でしっかり者、だけどちょっと怖がりで慎重派なチト。
食欲旺盛で大雑把なアホ、だけど意外と核心をつく事を言ったりするユーリ。
真逆の凸凹で、それでも好相性のふたりの旅は彼女たちの日常であり、新しい発見の連続でもある。
世界は滅び、凄惨たる姿をしているのに何故かふたりの旅はほのぼのしていて癒される…不思議な感覚のロードムービー。
感想。
非常に面白い作品でした。
世界については作中で僅かに描写されますがはっきりとはしません。
ただ女の子ふたりが生きる為の食料と、この世界がどうなっているのかを求めて旅をします。
ふたりの他愛もないまったりした会話と何かに触れてふと自分たちの置かれた状況を思ったりする切なさと、色々入り混じった日常が淡々とした感じで表現されていて独特な世界観を生み出していました。
個人的神回は9話。
{netabare}これは僕のドストライク。
人工知能を持ちプログラムを遂行するだけの機械でありながら人とコミュニケーションを取れ共感までする。
これは生きているというのか?機械に心はあるのか?
短編映画を観ているような気になる見事なまでの起承転結。
お別れの際に「ふたりとも長生きしてくれると嬉しいな」と言ったチーちゃん。
機械と魚にふたりと言った場面は感慨深い。
でかい機械が出てきた時に「建設者だ!!」と思った弐瓶厨な僕ですがやっぱり建設者だった…
建設者が暴走し始めてユーが「じゃあ魚食おう」と言い出すと思いきや…
共感。
良く出来た構成とキャラの良さを生かしたショートSF作品。
何度も見返してしまうほどとても良い回でした。{/netabare}
お互いの存在。
{netabare}最終話でチーちゃんはさらわれた(食われた)ユーを助ける為に奮闘します。
4話では灯りが消え暗闇の中でユーはチーちゃんを探します。
文句言い合い腐れ縁のように一緒にいるふたりですが、お互いがこの世界にいるたった一人の唯一無二の存在です。
ひとりになってしまったら……
心配性なチーちゃんは勿論、能天気なユーだって寂しさに耐えられなくなってしまうかもしれない。
過去に何があったのかはっきりしないままですが、いつまでもずっとふたりはふたりのままいて欲しい…そう思えるラストで良かったと思います。{/netabare}
まとめ。
さして大事件が起こるでもなく(起こった後だしね)、山も谷もない平坦な話でありながらとても叙情的であり、哲学的であり、且つのんびり愉快な旅物語でもある。
この不思議で独特な世界観は惹かれる人は強く惹かれるであろう作品です。
可愛い二人組みに癒しを求めるも良し、ディストピアに幻想を抱くも良し、
時折混ぜられる哲学的な考察を進めるも良し。
淡々とした流れが退屈に思えてしまう方以外にはおススメ出来る良い作品だと思います。
声優:
{netabare}チーちゃんとユーのお二人は当然ながらゲスト声優さんも◎
最初のゲストで「この町に人っているんだ!?」とびっくりさせたカナザワは石田彰氏ですが出演を知らずに観ていたので二重にびっくりでした。
三石さん、梶さん、花澤さん、そして島本須美さん!
キャラの個性をしっかり押さえたキャスティングは素晴らしかったです。
…ぬこが花澤さんとかキャスト出るまでわからんかったけどね(笑){/netabare}