雀犬 さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
眠り姫
2004年公開 新海誠監督初の長編作品。初の商業作品でもあります。
内容は前作「ほしのこえ」に続きセカイ系。
このアニメの特徴は…圧倒的な眠さ(笑)
―開始10分経過
やわらかな光の加減と色使いが心地よい。
初期の作品でもやはり新海作品の風景描画は素晴らしい。
ウトウト、いやうっとりするような風景です。
――開始15分経過
主人公の浩紀(CV.吉岡秀隆)と親友の拓也(CV.萩原聖人)の声は中学生時代から低い。
浩紀の方は滑舌があまり良くなくて若干眠気を誘う。
―――開始20分経過
落ち着いた雰囲気のBGM、それに加えてヴァイオリンの甘美な音色が副交感神経を刺激する。
この辺からかなり眠くなってくる。
――――開始25分経過
ここで時間が飛び、研究施設に舞台が移る。
「平行世界」「平行宇宙」「分岐宇宙」「位相変換」等々よく分からない単語が飛び交う。
頭で理解が追いつかない。弱ったところを眠気が襲い掛かる。
――――開始40分経過
主人公がモノローグでつぶやくように語り始める。
もう・・だめだ・・・
―――――開始1時間経過
Zzzz...Zzzzzzzz.....
――――――開始1時間20分経過
飛行機の音で目を覚ます。
「やべっ寝落ちしてた!おお、空を飛んでる。ついにやったんだなお前たち!!あれ、終わり?」
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{netabare}
このアニメは「君の名は」などを観て新海監督のファンになった人向けですね。
うっとりするような映像美は本作からすでに備わっています。
空、雲、電車、雨、猫などなど、あちこちで見つかる「新海印」を探すのも楽しいかと。
基本的に映像と音楽の一体感、そして雰囲気を味わう作品かなと思います。
ストーリーについては…個人的な意見ですが、
映像とストーリーの一体感が出るのは「言の葉の庭」以降でしょうか。
SF設定が舞台を整えるための道具になっていて、
それ自体が楽しめるものになってないように感じられます。
それでも、本作は新海さんが表現したいものがダイレクトに味わえる作品です。
冒頭で社会人になった浩紀が、故郷へと向かいます。
電車のシートで向かいあって話す中学生の男女を遠目で見る彼は一人です。
約束の場所だった廃駅には草原と青空が広がり、平和を感じさせます。
そこで彼は幼い佐由理の幻を見る。なぜ彼の隣に佐由理は居ないのか。
中学生のとき憧れだった塔は、禍々しい兵器であり、
中学生のとき憧れだった女の子は、目覚めたとき夢の中の記憶を失い恋人にはならなかった。
人の夢の、儚さ。
この喪失感が新海さんの作品世界を作り出す源泉なのだと思います。
ただ、こういったセンチメンタリズムは大人の男性以外には
あまり受け入れられないものですから、より多くの人に共感してもらうため
「君の名は。」で一度手離してしまったようにも見えます。
最近のインタビューで「もう一度王道のエンタメを作って自分を試したい」
と仰っていた記憶がありますがはてさて次作は。
「秒速5センチメートル」はちょっと苦手だけど、この作品は好きですね。
{/netabare}