ogahiroaki さんの感想・評価
3.5
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
"楽しい"とは何か?
ゲーマーズというタイトル通り作者が描きたかったのはラブコメではなく"ゲームの楽しさとは何か?"だったと思います。
作者にはゲーム文化が商業化したゆえ意義無く楽しめる気軽さも無くなってしまったという問題意識があるのではないでしょうか?階層化したオタク社会の中で、勝ち負けに興じるゲーム選手、評価に悩むクリエイター、はたまた脱却してDQNの仲間入りした元オタクなど。4人のメインキャラクターが登場するんですが、純粋にゲームを楽しんでプレーすることを忘れてしまっているんですよね。
「楽しいって何だっけ?」ヒロイン天道の悩みをエンタメ界への問いかけに被せ、その一つのアンサーを主人公雨野に載せて答える、そんな物語だったと思います。
そしてアンサーが明確に示されていて「それぞれのやり方で精一杯作品を楽しもう」という強い肯定とメッセージにちゃんと辿り着くんです。雨野は類稀なるプレゼン能力でそのゲームの素晴らしさを力説して女を落としていくラブコメなんですが、各個人の悩みに真摯に向き合い認めてくれるので説得力があるんです。登場人物と同じく何となくゲームが好きだけど自信が持てない人、個人ゲーム製作者なんかはきっと共感できるし報われるはずです。
最後の最後はなかなかゲームを認めてくれない彼女(おそらく親w)を熱意で説き伏せる大演説もあって強いものが伝わってきました。
最近のラブコメは展開が出し尽くされているので、別のテーマを持ってきてラブコメに突っ込むしかないと思いますが、その中で「ゲーマーズ」は"ゲームを楽しむとは?"という明確なテーマとそれに対するアンサーが込められていたのでとても面白かったです。同じテーマを本気で描こうとしたら熱血スポ根になるしかないので、ギャグ満載で面白おかしく笑いながら見れるラブコメでは良いですね。
個人的には出羽良彰さんの音楽が聞けるのが嬉かったです。最終話最後の3分で流れる楽曲はぜひ聞いてほしいです。ピアノから始まりフルート、クラリネットと何度も同じソロメロディを繰り返すのですがいつの間にハーモニーとなっていくんです。天野がゲームを通して友達の輪を広げていくお話とも結びついて最後を締めくくる最高の楽曲となっています。