コビ さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
タイトル回収が優秀
絵柄と何となくありがちそうなロボットアニメと決め込み、今までスルーしていました。
主人公が笑えるくらい厨二病じゃんw
【コードギアス 反逆のルルーシュ】←タイトルからして話は読める。
……なんて、そんな訳がなかったよね。
軽い気持ちで見始めたら、もう、もう。
本当に、内容が深すぎて溺れる。
プロットが念入りに組まれていて、あらゆる言葉遊び、タイトル、SE効果、次回予告まで全てが伏線なんじゃないかと疑うほど作り込まれていました。
これは、考察好きにはたまらない作品です。満腹です。
いろいろと謎にしている部分も多い。ご都合なのかあえてなのか……けれど、そこに想像力を掻き立てられるので、個人的には、すごく好きな作品です。
準備されたお涙頂戴は全然いらない。と思っていたら、それを上回ってくる。心をエグって積み重ねるは、もう……。最終回は涙なしには鑑賞できません。前が見えなくなる程泣いたのは久しぶりです。
絵柄の好みですが、尖った顎や昆虫の様な大きな黒目。手足の細長い身体。真剣に物語に見入っていても、どうしても気になってしまう作画もあります。
しかし、最近の3D頼みのアニメは苦手なので、そこには好感が持てました。その為、戦闘アニメ不可欠の血が騒ぐシーンはイマイチ。目が回るカメラワークとか臨場感溢れる戦闘シーンは無いと言っていいかと。
声優は主人公役のゲス声に違和感が否めない。喉がめっちゃ開いてる。とは言え、段々と演技力も上がっていくので違和感が無くなっていきます。福山さんは巌窟王のアルベールなど高音が似合うので、普段のルルーシュには良い。
ーーーここからモロネタバレ(無印を含)ーーー
個人的な解釈ですので、まだ本編を見終えていない方は見ない方がいいです。
{netabare}
無印25話のED後のC.C.語り部分がこの話の結末でした。
『個人の思惑など、世界の意志を前にしてはどうしようもなく流されてしまう儚い存在でしかない。<罪と罰・運命と裁き>ルルーシュの前に立ちはだかったのは、自らが生み出した過去であり、人が人であるが故の憎しみか。
それでも今は感謝すべきであろう。そう、少なくても人が幸せを求める存在であることに。一縷の望みのは、ほのかなる願いは、絶望から生まれいづる。』
それに気付いたのは、2巡してからでした。
正直20話までは、すれ違いに、伏線に、主人公をエグいほどどん底まで突き落として、よく出来てるな~。ぐらいにしか考えて居ませんでした。
21話からの急展開。それでも、悪(憎しみ)の矛先をひとつにして自分が全て背負う系か~。あるある~。お涙頂戴にいくのか~。
ってか、スザクと手を組んじゃったよw←上辺しかみれないクズ目線
バカ野郎!ちゃんと意味があるんだよ!
と、気付いた時、最終回で号泣。←遅い
『討っていいのは、討たれる覚悟のある奴だけだと』
『Cの世界で知った、人々は明日を望んでいること』
『願いとはギアスに似ていないか』
これは皮肉かもしれませんが、スザクは本来、償いのために誰かを守って死ぬことを望んでいた。けれど、ルルーシュの「生きろ!」というギアスによって願いを奪われてしまう。ここも伏線だったんですね。
クライマックスで剣となったスザクは、ルルーシュから罪という償いを受け取る。正義の味方として仮面をかぶり続け、人並みの幸せもすべて世界に捧げる、という新しい償いを。これは、普通、罰だと感じる。けれどスザクにとっての救済なんじゃないのか。ルルーシュは嘘をつき続ける。これは俺の『願い』だと。
そして、「君は、俺が殺す」「ルルーシュはユフィーの敵だ」「……だから」に繋がる。涙を流しながらも突き進んでいくスザクの意思の強さ。明日を望んだルルーシュの覚悟。そして、十字架の磔台を血で染め、落ちた先に待ち受けるナナリー。
彼女の願いは『みんなが幸せな優しい世界』だった。確かに世界は幸せになれたが。「お兄様だけでよかったのに!お兄様のいない明日なんて、そんなの……」←ここで号泣。名塚さんの演技は鳥肌物です。
ルルーシュは最後の最後まで嘘を突き通す。
すべての罪を背負い世界に嘘をついて、命を絶った。
カレンの言葉にまたグッとくる。
少数の幸せか大勢の幸せか。主人公の大切な人もメリバだと思うんだけど、ルルーシュはこれで報われてるのかな……。
出番のなかったC.C.。ようやくラストで締め登場。
「ギアスという王の力は人を孤独にする。少しだけ違っていたか。な、ルルーシュ(笑顔)」
え?イヤ、言葉が深すぎて、理解出来ない。ちょっと待ってよ。泣きながら混乱です。
C.C.の笑う要素どこよ。ルルーシュありきの「笑顔」どこいった?
荷馬車に揺られて向かうのは、永遠の命という<孤独への地獄>だよね?ヒロインもバッドエンドなのに笑顔なの?孤独なのに?
この時、BGMがうまいこと便乗してくる訳です。
『時を超え捕らえられてる あふれるこの思いはナニ?優しさが目尻に似合う あの人”たち”は今どこにいるの?』
あの人たち?【たち?】
ルルーシュ……生きてる?
御者が顔隠しすぎて怪しいのでは?
ってか、この作品はモブも顔出ししてたのに、あえてここで厳重に隠すの?
逆に期待するけど!って突っ込みたくなる。
最終カットの折り鶴は願いの象徴と共に、ナナリーを想うルルーシュのアイテム。C.C.がそれをずっと持っていたとは考えられない。
堪らず案の定、見返すことに。
タイトル通り『Final Turn Re;』から
『魔神が生まれた日』へ戻る。
え、絵が……繋がってる……。のは、さて置き。
C.C.「力をあげるかわりに、私の願いをひとつだけ叶えてもらおう」
「我が願いは死ぬこと、私の存在が永遠に終わることだ」
と、言いながらルルーシュによって気持ちが変化していく。「そんな顔で死ぬな!最後くらい笑って死ね!必ず俺が笑わせてやる!だから……」←伏線*重要
C.C.は永遠の命と言う地獄を生きる道を選んだ。
「私だけはお前の傍を離れない。ずっと一緒に居る。」
「契約したろ。お前のそばにいると。私だけは。」←何度でも言います
スザクの「僕は彼の剣だ。彼の敵も弱さも、僕が排除する。だからC.C.、君は盾になってくれ。守るのは君の役目だ」中略「君はルルーシュの共犯者だろ」
に対し「共犯者……か」
そして、「私に笑顔をくれるんだろう?」←伏線*重要
「ルルーシュ、お前は人々にギアスをかけた代償として……」←意味深
「ギアスという王の力は人を孤独にする。少しだけ違っていたか。な、ルルーシュ?」
死を望んだC.C.なら、永遠の命こそ、罰だと捕らえているはず。そして、C.C.が笑顔で過ごせる世界でルルーシュは必須だと思うんです。本当にルルーシュはあっけなく死んだのか?これだけ伏線張り巡らせておいて、ルルーシュが死んじゃったらC.C.の最後の笑顔は何ですか?死への労いでしょうか?
ルルーシュが生きていると仮定して、いつコードを得たのかが問題点です。C.C.が継承したとすると、『孤独』がついてきてしまうので除外。となると、もう一つのコード。V.V.から奪ったシャルルのコードです。
シャルル消滅時、紋章が浮かび上がった右手でルルーシュは首を締められます。この時、コード継承もしくは奪い取り、コード保持者になってたと仮定すると、辻褄が合う。これでC.C.と同じ不老不死になる準備完了。上手いことルルーシュの衣装はハイネックなので、その紋章は見られません…これは偶然の設定でしょうか…?
そもそもシャルルは不老不死なのにコード持ったままじゃ死ねないだろ……と誰しもが思った矛盾も解決します。
もし、永遠の命という地獄を歩む事になっても、不老不死の二人でなら孤独から脱し、経験ではなく人生を歩みたいと願う、C.C.の想いも報われる。ルルーシュの『それでも俺は、明日が欲しい!』の願いも。なんて都合よく追加要素のハッピーエンドで脳内補完しました。
だって、『一縷の望みのは、ほのかなる願いは、絶望から生まれいづる。』訳ですからね。
<<タイトル回収>>
「我が名はZERO。力あるものの反逆者である」
ルルーシュは世界統一した、世界で最も力あるもの。
そう、だから自らが、自らに反逆する。
自らが生み出した過去(ZERO)によって。
【反逆のルルーシュ】タイトル回収、流石でした。
残るは【コードギアス】
<コード>と<ギアス>なんで組み合わさってんのさ?と思っていましたが、先程の<本当の意味での反逆者>となったルルーシュが【コード】と【ギアス】を保持しているからこそ、【コードギアス】ってタイトルになるんじゃないかと解釈。
キーワードは【嘘】
この話は結局、嘘によって視聴者まで騙していた。
無印1話から嘘ばかりだと始まります。そして、事あるごとに、嘘を重ねていく。ユフィーの死も弁明せず、スザクにもナナリーにも嘘を重ねていく。嘘によってすれ違いが悪化していく。
印象的だったロロの最後には、「兄さんは嘘つきだから」と。
そして、ルルーシュは嘘を重ねる。このあたりから、嘘で人を幸せにする写生が顕著になる。両親の目指す「嘘のない世界」を否定するのにすごく納得しやすく、わかりやすくするためでもあったのかもね。
嘘がいけない事じゃないと、シャルル達に話したように、嘘にも明日を生きるための意味がある。そして、世界に嘘をついて全ての罪を被る。優しい嘘つきによって、絶望であった嘘が、優しい希望に変わる。
1話で『あの日から俺はずっと嘘をついていた。生きてるって嘘を。名前も嘘。経歴も嘘。嘘ばっかりだ。全く変わらない世界に飽き飽きして、でも、嘘って絶望で諦めることもできなくて。だけど、手に入れた。<力を>だから…』
最終回では、手に入れた力で<俺は世界を壊して、世界をつくる。>
嘘への認識と共に物事が真逆になっています。
『あの日から俺はずっと嘘をついていた。死んだって嘘を。世界で俺を知らない者はもういない。嘘ばかりでもいいんだ。絶え間なく変わる世界に人々は明日を願う。嘘は求めるものだから。嘘って希望で決意することができた。そして、手放した。<力を>だから…』
嘘によって<世界は俺(ギアス)を壊して、俺(コード)をつくる。>
この事を知っているのは、もちろん共犯者である【C.C.】ただひとり。
最後まで笑顔で優しい嘘をつき続けたルルーシュという名の嘘つきは、視聴者まで巻き込み死んでいった。そして、不老不死として生まれ変わる。ゼロになる死の世界よりも辛い道のりを、C.C.と共に。
ーーー長々とお付き合いありがとうございました。妄想が爆発しました。
ここまで書いておいてなんですが、公式の全死亡者リストなるものがあるそうで、公式でルルーシュの死は確定のようです。本当ですか?スザクの様に偽装であって欲しい。ルルーシュの死は、谷口氏の優しい嘘であって欲しい。{/netabare}