Progress さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
アニメ語りをカタルズ
Youtube等で、海外の方がアニメを視聴している動画があるのをご存知でしょうか。
彼らの動画をまず説明します。
・30分のアニメを視聴
・作品の映像はつけない(もしくは)、音声は小さい音でつけている(つけるとアカウントBAN)
・基本的には彼らの上半身が写っており、作品を見ている姿を見る動画
・最新のクールのアニメについて主に視聴
・動画の最後に今回の話数の感想と次回への期待を述べたりする。
こんな所でしょうか。
彼らの魅力を語っておくと、非常に日本のアニメを好意的に見ていることが伝わり、オーバーリアクションではない、素の彼らの反応が面白いのです。
では、なぜ彼ら、海外アニメYoutuber(ニコニコなどでは「海外の反応アニメシリーズ」というタグがつけられている)について取り上げたのか。
今作品はアニメ語りをしたい人達を描いた作品ですね。つまりアニメ語り、その観点から言うと、アニメの海外の反応動画は一体なんなのか?
海外アニメyoutuberのこの表現(アニメを見ている自分を移す、以下反応動画と略します)は、
アニメを語るという行為において、どんなメリットがあるでしょうか?
①30分のアニメ内容を丸々反応することができる。、ストーリーも音楽も、作画もキャラも、その場で反応できる。
②表情、声色からその人の状態を伝えることができる。
私が気になったのはこの2点。
この2点は、レビュー、感想を書くという行為、つまり文章でアニメを語る行為では真似する事が難しい。
①について。
すべてのシーンを見ながら感想を書くというのは、恐らく経験を積まなければ出来ない。
また、感想とした時に、何が良かった、という感想に対しての理由付けとは関係のないシーンの事まで書いてしまうと非常に煩雑。
これはメリットでもありデメリットでも有りますが、単純に作品1話にたいするアニメ語りの時間を、レビューという形で行うよりも抑えられる。これは、レビューは伝えたいことを模索しますが、反応動画は、反応する人間の反応が感想であること。
レビューで伝える作品の魅力と、反応動画で伝える作品の魅力。
どちらも性質の違う作品の魅力の真を伝えているとおもいます。
②について。
人間の表情が、その人の感情が今どんな状態にあるか、読み取るのに非常に役立っていることは言うまでもありません。
文章に起こした時、書き手側が読み手側に読み取って欲しい感情を伝えることは容易ではありません。
もちろん、棘のある文章、などと揶揄される事があるように、言葉じりから伝えられる手法があります。
ただ、文章を書いていくうちに、ワンシーンで感じた魅力を歪めてしまった文章よりも、単純にこのシーンはすごいと、初見で見た感想を伝える方が、人の共感を得られるのではないかと、反応動画に期待してしまうのです。
①と②をまとめると、文章レビューは、作品をより抽象的に語るもので、反応動画は、ワンシーンにおける部分的感想の集合体であり、具体性に富んでいます。
どちらが良いと言うことはありませんが、ひとつだけ。
彼らの反応動画には、彼ら個人の反応という魅力があり、文章レビューは、彼らの魅力が台頭し始めたこの時代だからこそ、その魅力が十分に発揮されて欲しいと願います。
さて、作品の話を絡めます。
作中の登場人物は、友人間の話題でアニメを語っています。
作品の感想を、魅力を友人と話し合う。
かつてアニメを見る大人が、アニメヲタクと揶揄された時代においても、
ヲタクが集まってそのようなコミュニティの場があったのだと思います。
少なくとも私の高校時代には、アニメを語る仲間はいなかった。
上のアニメ語りの方法として、友人間での直接的なアニメ語り、これは友人という存在に配慮しながら語らないといけないというデメリットは有りますが、好きな作品を好きなもの同士で語れたら、楽しい時間をすごせることでしょう。
最後では有りますが、
子供の童心に焼き付けられたアニメの記憶を探る未乃愛の姿に、私は、小学生時代に見たはずのタイトルを思い出せないアニメを思い出そうとする私の感情を表現してくれた、唯一無二の友人のような存在に感じています。