藤乃 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
おおかみこどもの雨と雪
細田守監督の長編作品第3作。
狼男との間に生まれた子供を懸命に育てる母の姿と、その子供たちが自立するまでの13年間を描いた家族物語。
作画がすごく丁寧で、四季折々の自然の風景が清らかで美しいです。
特に子供たちが雪原を駆けるシーンはすごく疾走感があって、こみ上げてくる喜びが伝わってくる名場面ですね。
この時に流れる「きときと」や他の劇伴も素敵な曲ばかりで、いっそう魅力あるシーンに仕上げてくれいてます。
一部を除き、俳優陣の演技はかなり上手で違和感はありませんでした。
むしろはまり役すぎて、途中から花が宮崎あおいに見えてくる不思議…
キャラクターは皆表情豊か!オオカミ子どもであるゆえのエピソードもコミカルに描かれていて面白いです。
成長していく子供たちの心理描写も丁寧で、思春期の葛藤や生き方に悩む姿には見入ってしまいます。
なんといっても、子育てを通じて共に成長する母親の凛とした強さには、胸がいっぱいになりました。
子どもたちを一人で守り育てるんだという覚悟と、どんな時も弱音を吐かずに笑顔で困難に立ち向かう姿はすごい。
他の方がおっしゃるように、無計画な妊娠や生活費などの設定、美化された母の姿には確かに違和感を感じます。
シングルマザーの貧困や地方の過疎化、環境問題など、現実的な内容も描かれているので余計に気になるのかも。
ただ、そもそも狼男が出てきた時点でファンタジーですからね。
作品の主題がストレートに伝わってくるストーリーと演出には心打たれます。
誇張された表現だとしても、作品の一番の魅力である花の優しさと強さに素直に感動しました。