STONE さんの感想・評価

3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

タツノコというブランドの強さ

　タツノコプロの4人のヒーローのコラボ作品ということで、「こういうことができるのは歴史が
あり、オリジナル作品を多々作ってきた制作会社の強みだなあ」と改めて思った。
　元ネタの「科学忍者隊ガッチャマン」、「破裏拳ポリマー」、「新造人間キャシャーン」、
「宇宙の騎士テッカマン」を知っているか、いないかではまり度は俄然変わりそう。個人的には
いずれも好きだった作品だけになんとも嬉しい企画でした。

　本作の展開の都合や4人のヒーローの差異を強調するためか、各人の性格などはオリジナルとは
異なっている感が強く、特にガッチャマンである鷲尾 健はここまで偏屈なおっさんだったか？と
思うような感じ。
　別の世界から来たという設定を使って、オリジナルと本作の時代の差を描きたかったの
だろうけど。

　作品内で描かれるのはヒーロー達の行動や思考、作品の持つテーマ性など、変に斜に構えることの
ない熱血感溢れるヒーロー然としたもので、この辺の振り切った感じが気持ちいい。
　こういった熱い部分はある意味ださかったり、うざかったりもするのだが、そういった視聴者の
印象を代弁していたのが界堂 笑という存在だったような。
　そんな笑のふてくされたような、あるいは意固地な態度は人によってはイラッとしそうな印象
だったが、まだ自身の感情をコントロールできない幼さや、父である界堂 一道に対する
ツンデレとも言えそうな態度がうまく描かれていたと思う。
　展開的にはヒーロー達の行動により次第に変化していく笑の成長譚になっており、そういう
意味では主役は笑で、ヒーロー達は助演といった感じ。

　フル3D CG作品ということで、人物作画などは以前より良くなっているが、まだ
「不気味の谷」的雰囲気は感じる。ただ、アクションシーンなどはCGの良さが活きている印象。
　基本的にはシリアスな作品だが、意識してか偶然か判らぬが随所随所に笑ってしまうような要素が
ある。笑の行きつけのカフェのヤギがやたらとクローズアップされる意図は何だったのか？　敵で
あった頃のラジャ・カーンが唐突に笑の自宅訪問する展開もおかしかった。
　そして、ダミアン・グレイのねちっこい「たけし」呼びが耳から離れない。

2020/01/27