STONE さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
3D CGアニメとしての魅力溢れる
原作は未読。
いきなり総評のようになってしまうが、本作がテレビで放映された2017年秋は独特の世界観を
持つ作品が多かったのが印象的だった。
本作以外だと、「クジラの子らは砂上に歌う」、「魔法使いの嫁」、「少女終末旅行」、
「キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series」など。
最近多い異世界もののようにベタな設定の作品も、俳句などの定型詩のようにある種決められた
世界観、設定の中で独自性を求めていく面白さがあるが、やはり個人的には独特の世界観を持つ
作品に惹かれてしまう。
そういう意味ではなかなか楽しいシーズンだったが、その中でも良かったのが本作。
世界観や設定だけでなく、内容もこの世界の謎を巡るミステリー要素、主人公の
フォスフォフィライト(以後、フォスと表記)を始めとする魅力的なキャラ、CGを活かした
バトルシーン、シリアスな作風の中にある種のシュールさを持つユーモアなど、見どころ一杯と
いったところ。
キャラに関してはやはりフォスが印象的で、いい加減だったり、大言壮語するも、シンシャや
ダイヤモンドへの対し方を始め、根底に優しさが感じられ、とにかく憎めない感じの魅力的な
キャラ。このフォスに関しては中の人である黒沢 ともよ氏の演技がそれに一役買っている感じ。
他のキャラも魅力的なキャラが多かったが、大半が宝石ということで他の作品ほど設定や
デザインに差異が感じられず、その分キャストの演技による魅力というのが大きかったように
思える。
宝石は設定的には性別がないがキャストは全て女性で、人気・実力を持った女性声優を集めた
なかなか豪華なキャスティングといった感じ。
キャラによって女性的なものと男性的なものがいるが、前述のように宝石は全て女性キャストで
あるため、宝塚歌劇的雰囲気を感じたり。
ストーリー的にはこのフォスの成長譚といった側面が強いが、独特の世界観を持つ作品ながら、
このフォスの成長部分に関しては新たな力を得て強くなっていくという、少年バトルものに
見られるような王道的なものであるところが面白い。
ただ、本当に強くなった要因はアンタークチサイトが月人に連れ去られたことによる精神的変化が
大きく、そういう意味では悲しき強化といった感も。
以後は雰囲気がかなり変わるが、それでも以前の愛らしい雰囲気は残しているところが嬉しい。
基本的にはシリアスな作品ではあるのだが宝石達の日常など、コミカルな要素も多分にあり、
この辺の女子日常系的雰囲気も楽しみどころの一つといった印象。
笑いに関しては金剛先生の天然っぷりが結構大きかったような。
多くのキャラが宝石の体を持つ存在だが、その硬質感が3DCGアニメに非常に合っていたように
思えた。
また宝石のような硬質なものだけでなく、しろのような毛がモフモフした存在もよく描かれて
いたが、この辺は同じオレンジ制作が後に制作した「BEASTARS」でその魅力が遺憾なく
発揮されているような。
2019/11/24