Ka-ZZ（★） さんの感想・評価

3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

絶望と、なかよく。終末が日常だ。

この作品の原作は未読ですが、いのすけと久保ユリカさんが出演される事を知り視聴を決めた作品です。
アニメーション制作はWHITE FOXさんなのですが、WHITE FOXさんのこれまでの軌跡を見てみると、結構いのすけと接点があるんですよね。
作品のイメージや相性も当然あると思います。

でも、作品と配役をみると転機となる作品が多いのもまた事実だと思います。
2014年：ご注文はうさぎですか?（チノ）
2015年：ご注文はうさぎですか??（チノ）　うたわれるもの 偽りの仮面（ネコネ）
2016年：Re:ゼロから始める異世界生活（大天使レムりん）
2017年：少女終末旅行（チト）

私にとっても思い入れのある作品ばかり…
ごちうさ然り、リゼロは言うに及ばず…
「うたわれ」の続編はたねちゃんの復帰を待って絶対続きを見なきゃいけない作品…
だってあれで終わっちゃったらクオンが浮かばれないから…
オボロに縋りながら号泣したクオンが今も頭に焼き付いて離れてくれません。

私の中でこういう状況の中で放送された本作…
胸に抱くのは期待ばかり…満を持して視聴に臨みました。

物語の舞台は、たくさんの廃墟と機械に埋め尽くされた街並みが続く世界のどこか…
いつからこんな状況なのか、なぜこんな風になってしまったのか…
今となっては理解すべき手段も見当たらないそんな世の中が永遠に続く場所…
愛車ケッテンクラートに乗ったチトとユーリの旅は今日も続いています。

二人は前に進んでいます。
だから通り過ぎる景色はいつも同じじゃないなずなのに、状況が何も変わらないと何故か違う景色も同じに見える…
そのサイクルを何度も繰り返しながら今までやってきました。

「どこまで行っても二人きり」って、きっと不思議な感覚なんだと思います。
曜日や時間の感覚だって麻痺してきます。
だから「行き着く」ために二人である必要があったんです。
もし一人だったら…途中で諦めて、挫折しても仕方ないと思うんです。
自分のために何かをする…これって限度があると思いませんか？

大勢の人の中に自分が居て、そこで個性を発揮するのと訳が違います。
この場合だと、良いか悪いかは別にして何らかの反応があると思います。
その反応は孤独じゃない証…
どこまでも一方通行だったら…きっと心が折れると思います。

チトとユーリの性格はちょうど正反対です。
冷静で慎重なチトと、のんびり屋さんのユーリ…
性格がちょうど正反対だから、二人で頑張れたんだと思います。

だって、お互いが完璧ではないのでお互いの不足を補え合えるんです。
二人ボッチの世界…お互いがお互いを認め合わなければ、どちらも破綻するリスクを十二分に孕んでいたと思います。

その点、この二人の掛け合いは時に漫才みたいで良かったと思います。
でもそれだけじゃありませんでしたよね。
雨だれの音に耳を傾けたら、永遠に続くかもしれない今この時が大切に思えたり…
新しい発見に一喜一憂したり、突然の出来事に驚いたり…
一人じゃなから…そこに相手がいるから小さな社会が成立しているので、不意な遭遇があっても適切に対処ができた。

一見平和な旅っぽく見えない事もありませんでしたが、明日の食糧が確保できるか分からない…
そもそもどこに進めばよいのか、どこまで行けばよいのか…全然分からないんです。
でも、旅には必ず終着点があるように、チトとユーリの旅にも終着点がありました。
それは彼女らが望んだ結末だったのか…それとも…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは「動く、動く」
エンディングテーマは、「More One Night」
どちらもチトとユーリが歌っています。
曲はどれも同じくらい好きですが、アニメとの融合で見るとオープニングの方が個人的には高評価でした。
この二人が歌った挿入歌の中で印象的だった曲がありました。
5話で流れた「雨だれの歌」です。

1クール12話の物語でした。
肩の力を抜いて見れる作品…
声優さんも上手なので安心して視聴のできる作品だったと思います。