STONE さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
一風変わったヒーローもの
原作は未読。
初老の風采の上がらない男性がヒーローになるという基本設定が面白い。
自身の能力をよく判っておらず、その辺の苦労やそこから生まれるユーモアなどは、往年の
アメリカのテレビドラマ「The Greatest American Hero(邦題 アメリカン・ヒーロー)」を
思い出す。
主人公の犬屋敷 壱郎だが、見た目こそパッとしないが秘めた正義の心や家族愛など、その内面は
なかなか魅力的で、この壱郎と同時期に機械化された獅子神 皓の活動がストーリーの主軸と
なるが、その裏で当初はバラバラな感があった犬屋敷一家が一つにまとまっていく
ファミリードラマ的側面も楽しかった。
壱郎と獅子神のぞれぞれの能力を使った行動だが、いずれも機械となった自身が人間であることを
確認するためのものであるのに、結果としてかなり違ったものになっていることが興味深い。
壱郎の行動理念が「世のため、人のため」的な比較的シンプルなものであるのに対して、獅子神は
人間の善悪の二面性が出ているのが面白い。ある意味非常に人間らしいというか。
善行とも言うべき部分も母親、安堂 直行、渡辺 しおんと祖母といった自分と親しくしている人の
ための行動であるのが、社会正義的に見地に立つ壱郎と異なる点がこれまた面白いところ。
終盤、獅子神が日本に対して宣戦布告する展開は、強大な力を持った個が国家に戦いを挑むという
図式が「亜人」に通じるものがあり、その結末が気になったが巨大隕石の接近でうやむやに
なってしまったのが残念。
この巨大隕石だが、いかにも話を締めるために起きたイベントという感じで唐突感は免れず。
その展開自体もやや詰め込んだ感もあったが、それなりにちゃんと締めた感はあった。
壱郎、獅子神、安堂といった主軸となるキャラのキャストがいわゆる非声優さんだが、それほど
違和感なく作品に馴染んでいたように思えた。
2020/03/01