ogahiroaki さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:今観てる
暗い人間以外出てこない
登場人物が全て暗い、暗すぎる。
夏目と比較されるが彼はまだ感情豊かでした。猫を平気で殴るし冗談も言う。彼は処世術として世界を拒んできたに過ぎないから、ニャンコ先生の力を借りて心の扉を開ければ引っかかりが取れたかのように順調に成長していけるんです。彼の不器用な微笑みから成長を実感できるから見ていても飽きませんでした。
ところが魔法使いの嫁の主人公チセは夏目より遥かに深刻です。彼女には心の扉どころかその中身である心・感情が空っぽ。全てにおいて受動的で目が死んでいます。ドラゴンに世界の美しさを見せられても美的感覚が穏やかなドラゴンの死に向かってしまう。「世界の美しさを識る為の物語」、確かに描かれる世界は美しいのですが、チセの感性がバグってるいせいで彼女を通すと世界の美しさが見えてきません。
人形が魂を宿るように時間をかけてチセは人格を形成していかなければならないので夏目よりハードルが高いです。
さらに心配なのは彼女の周辺も暗い影の住人ばかりなことです。
パートナーのエリアスはチセ同様にかなり闇深く(チセを泳がして犯人をおびき寄せるのはそろそろやめてほしい)、同居人は無口な妖精と黒犬、人との接触を避けた田舎暮らしで付き合うのは魔法の存在を知る裏世界の住人ばかり。魔法界の児童相談所が手紙を寄こすのも頷いてしまいます。
優しいキャラは描けても寒いギャグ無しで明るいキャラを描けないあたりに、作者の暗さを感じてしまいます。
とはいえ私はこの作品が好きです。
見せてくれる世界は本当に美しい。
チセとドラゴンが共にみる黄昏や、エルフとチセのダンスシーンは幻想的で自然と涙が出てきました。(チセが川に落ちるシーンは美しいのにサラっと流されて悲しかったが)他にもコッツウォルズ地方のような自然豊かな舞台と魔法表現はどれも繊細で美しいので見いていて飽きない没入感があります。
そしてジブリ好きならいたるところに散りばめられるジブリ要素を見つけるのも楽しいです。キャラや構図、演出ににそっくりなところがたくさんあります。あ、おっこと主だ、カオナシだ!!と探すと結構楽しいです。
ゆっくりではあるものの彼女の心に確かに成長しているので辛抱しながらチセに心を芽生えるのを見守りればきっとチセと一緒に美しい世界を眺めることができるでしょう
※追記(最終回を終えて)
前半とは異なり後半は派手な絵がなくなり全体的に地味、チセの内面を深めていくのだから仕方ないが見所は大分減った。最後はラスボスを倒して美女と野獣フィニッシュ。厄介者が1人増えてチセが聖母化しないと崩壊するような家庭となってしまった。エリアスの存在がもはや希薄。
カルタフィルスは結局何だったのだろう?チセの合わせ鏡のような存在として描かれていたけど、私にはエリアスの分身にしか見えない。