はあつ さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
漫画とアニメの体感の違い?
50代の老け込んだオッサン「犬屋敷壱郎」と、イケメン高校生「獅子神皓」が、事故で突然、外見と思考以外、中身は生物でない地球外オーバーテクノロジーの戦闘機械と化します。
ストーリーより、2人の両極端な人物描写が見どころの作品です。
劇画寄りのキャラデザで描く生々しい人物たち。
犬屋敷の善良だが気弱なところ、獅子神のマザコンで子供っぽい心の揺れ方、周囲の人物たちも含めた悲哀感は心に迫ります。
私、GANTZで有名な奥浩哉先生の原作コミックを読んだ時は、ぐいぐい引き込まれラストは結構感動しました。
本アニメは、その原作を忠実に再現しています。
元々CGを多用した原作漫画の表現は、アニメ作画で存分に作り込まれていて、アニメ制作スタッフの手腕は確かです。
なのに・・・
アニメは視聴続けるのがつらかった~
残虐耐性のない方は、観ない事をオススメします。
以下ネタバレで残念感想~
{netabare}
単純明瞭な作品のプロットは、中身が機械になった2人の、人としてのアイデンティティーの求め方。
犬屋敷は人を救う事に、獅子神は人を殺す事に自我を見いだします。
私、その両極端な見せ場の感じ方が、媒体が変わると、こうも違うのかと思った次第。
まず、一番アニメで長尺で苦痛に感じたのが獅子神の無差別大量殺人。
殺人シーンは、動機や人物の背景(猟奇性も含めて)が落ちてないと、長時間見てられません。
漫画では、セリフが少ないので流し見で、紙数の割りに速く読み進められる。音も色も無い分、アニメよりは残虐なインパクトも薄まる。
だから、それほど苦にならなかったんです。
逆に、カタルシスを得るための犬屋敷の人助けシーン。
アニメでは、滑稽に見えたり、アッサリし過ぎたりで感動が昂まらない。
特にクライマックスの隕石自爆と家族の描写が短か過ぎる。
漫画では、コマとコマの間を脳内で補填したり補正できるので、あまり不自然に感じず、感動場面はページを丸ごと使う大きなコマ割で見る事で、救いの感情が沸き上がったんです。
こう振り返ると、原作に忠実であっても、やはりアニメとしてのシナリオ配分や場面の見せ方に工夫が足りなかったのかと感じます。
あとは俳優さんの声の演技。
アニメ絵に充てるには、声の強弱が少なく、感情表現に乏しく感じました。(これは、私がアニメ声に慣れすぎてるから?)
実写なら、あの声のまま小日向さんが犬屋敷を演じても、ベテランの演技力で役柄を出しきられるでしょうけど。
(と思ったら、公開予定の実写映画は配役が違うんですね・・ホント、アニメの起用が意味不明~)
他のキャラ
不登校気味の直行くん。性格付けがしっくりとして見ていて一番馴染みます。
彼だけが獅子神の最後の罪滅ぼしを知ったのが、犬屋敷だけじゃなく2人の救いとなりましたね。
地味っ娘のしおん。幼いながらも母性を感じさせ、実母亡き後のマザコン獅子神の拠り所として上手い描写でした。
原作者の好みなのか、GANTZでも似たようなヒロインがいたような・・
美少女、犬屋敷麻里。ホンマにあの夫婦の娘?って突っ込みどころのひとつ。
実は、「長らく子の出来なかった夫婦がもらい受けた養女」って裏設定があるのか定かではありません(^^;
音楽
EDは好みなんですが、なんで犬屋敷じゃなく獅子神の心情を汲んであげたんですかね~
OPは私の感性に合わずでしたが、楽曲のアーティストさん、ライブでもあの被り物のままだそうで驚き!
最後に
私、犬屋敷と家族構成もほぼ同じで、うだつの上がらなそうなサラリーマンってところも親近感を感じて観てたんですが、共感はしにくい~
私なら、どうせガンで死ぬところだったんだから、これ幸いと考えそうな気もします~(人助けするにしても少しは小遣いかせぎするとか…^^;)
その点では、若くて健康に問題の無かった獅子神の方が自暴自棄になるのもうなづけるんですが、あの異常な殺しっぷりでは同情できない・・・
でも、ラストは少し羨ましくも・・
あのまま病死だったら、娘に尊敬される事も、息子を強くするきっかけにもなれなかったでしょうし、ヒーローとしての死に様には夢を感じました♪ {/netabare}