要 塞 さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
今も世界の何処かで
日本人として、いや、人間として生きていくうえで、
絶対に避けては通れないテーマの一つに、
「戦争」があります。
義務教育の段階において、
戦争について学習する機会は多かったのではないでしょうか。
自分は学校などで、教材として、様々な戦争映画を鑑賞しました。
そしてその中には子供でも理解しやすいように、
数々のアニメ作品も含まれていました。
個々の主義主張については触れませんが、
どの作品にも共通しているのが、
「悲惨さ」と「反戦への思い」だろうと理解しています。
まあ、要するに、
「正義のための戦争」
なんぞいうモノは、「まやかし」なのだろうと、
個人的にはそう思っています。
『スターウォーズ』を喜んで見ている自分もいますが、
それはエンターテイメントとして楽しんでいる、
楽しんでよい範疇なのだと無理やり思いこんで、
折り合いをつけてはいますが・・・。
まあ、そんな感じで、
偽善者の一員である自分は、
「戦争」というテーマに関して、
心中にあらゆる矛盾を抱えているわけです。
この作品は戦争を描きつつも、
その一点に焦点を当てている訳ではなく、
むしろ戦争自体が附属の要素に押しとどめられている、
そんな印象を受けました。
火事の現場で例えるなら、
燃え盛る炎を中心に捉えるのではく、
降りかかる火の粉(戦争=自然災害のような)と、
逃げ惑いながらも人間らしさを失わない住人達(当時の日常)、
に焦点を合わせている?
逆にわかりにくくなったかもしれませんし、
的外れなことを記しているかもしれませんが、
少なくとも自分はそういう印象を受けました。
視聴後に、過去に見てきた作品、
特に昭和の戦争時代を扱った作品群を思い浮かべてみると、
最初は相違点が多いかな、と思っていましたが、
以外にも類似点が多数見つかりました(記憶が正しければ)。
ただ、広島の呉に住む一市民の視点から見た世界、
という点では、これまでにない斬新な見せ方で、
原作未読なので詳しくは語れませんが、
戦時中の日常を描くという点が、素晴らしい試みだったと思います。
もしこの世に「正義のための戦争」なるものが存在したとしても、
そこには必ず痛みが伴います。そして、それは多くの場合、
当事者以外の方方にも、過酷なしわ寄せを招きます。
この作品はそんな、
生きているだけで痛みを伴いそうな過酷な時代に、
確かに生きていただろう人々の、
「人間的なたくましさ」が表現されていたように感じました。
背伸びして偉そうなことを記してきましたが、最後に、
個人的にお勧めするのは、ディテールのリアルさです。
画の細部から発せられる生々しい雰囲気には、息を呑みました。
また、あらゆるシーンから察せられる、
作中には直接描かれていない、
当時の情勢、バックグラウンドにも、
自然と興味がわく内容だったのではないでしょうか。
この作品の視聴を機に、
歴史に興味を持ち、勉強し直してみるのも一興だと思いますよ。
そして、何かしらの「意見」を持つのもいいかもしれません。
その場合、薄学知ったかぶり人間でも、本当の博学教養人でも、
忘れてはいけないのが、自分の意見が「絶対」でないということです。
「正義のための戦争」がなくならない原因も、
ここにあるのではないでしょうか・・・。
訳のわからない思想を披露してすいません。
炎上しないことを祈りながら、
感想に託けた、薄学偽善者の独り言を結びたいと思います。
礼。