Tnguc さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
優しさを根差し、愛に生きたネロの末路
~
世界名作劇場の記念すべき1作目。1975年放送。全52話。今から40年以上も前に放送されたこともあって少し古臭い印象を受けました。とくにセル画特有の品質の劣化が目立ちましたが作画自体は悪くなかったです。なにより「森やすじ」のキャラクターデザインが今でも通用することに驚きました。今ではすっかり時代に埋もれてしまった作品ですが、いざ蓋を開けてみると、ネロの誠実な心や、パトラッシュとの運命的な出会い、アロアやジョルジュとの深い絆、そして、ジェハンお爺さんとの慎ましい生活が描かれていて、その様子と出会えるや否や、作品の上に積もった埃はあっという間に吹き飛んでいきました。今見ても面白かったからです。煤けた家で暮らすネロとお爺さんはとても貧乏ですが、家族の絆を大切にするネロの姿を見ていると、アロアの裕福な家庭よりもよっぽど温かく感じました。ただ、ネロの家の外には不親切な人が沢山いて、その度にネロたちは厳しい風当たりを受けることになります。そのせいで暗いエピソードも多く、ネロたちの境遇は可哀想としか言いようがありませんでした。その最たるものがネロとパトラッシュの死だと思います。私にとってこのラストはあまり納得ができませんでした。なぜなら、ネロとパトラッシュは子どもたちの指針ともいえる存在だったのに、それを殺してしまったからです。ですが、アロアやジョルジュとの友情、ジェハンお爺さんの優しさ、パトラッシュの忠実な心はまさに児童文学的で心が洗われるようでした。観ている者にとって、そこから情操の精神が根付くことだと思います。ツラく悲しい物語が多かったからこそ、他人のことを分かろうとする気持ちを持ったネロたちの姿は、雲間から挿す光の様に輝いて見えました。
個人的評価:★★★★☆ (4.0点)