Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
盛岡森子(♀)、30歳・独身・ニート。現実世界からドロップアウトしました。安息の地を求め、たどり着いた先は…ネット世界!!
この作品の原作は未読です。
ですが、私的に2016年春アニメの一推しだった「ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?」を彷彿させるような作品のタイトルと、主人公の声優さんが能登さんであることや上田麗奈さんも出演されると知り、視聴意欲が加速した作品でした。
この物語の主人公は、30歳で脱サラニートになった盛岡森子…
ですが、その一歩を踏み出すのは決して簡単じゃなかった事が容易に想像できる人なんです。
根は実直で真面目…その上責任感の強い彼女にとって、きっと選択肢はこれしかなかった…ということは決して無いと思います。
ですが、結果的に先行きが不安になる道を「選ばざるを得なかった」状況に追い込まれていたのでしょう…
時折、何にも悪い事をしていない…平凡かもしれないけど一生懸命に生きている善良な市民に世の中の不条理は牙を剥くんですよね。
盛岡さんはきっとそんな不条理の被害者だったのだと思います。
そんな彼女が紆余曲折を経て辿り着いたのがネトゲの世界…
生活に困らない程度に生きていけるなら、選択肢としては有りだと思います。
会社務めの頃の彼女…お世辞にも笑顔が多い社員では無かったと思います。
ですが、そんな彼女でもネトゲの世界では自由でしたから…
私はネトゲをしないのでこの手の話題には疎いのですが、ゲームを選ぶ際はその作品を純粋にプレイして得られる楽しみは大切な要素だと思います。
でもネトゲならではの醍醐味は自分を知らない不特定多数を接点が持てる事…
この接点が不要なら、わざわざネットでゲームをする必要はありません。
一人で臨むゲームなら巷に山ほど出回っているから…
その中には一人で楽しむが故の特典のあるゲームだってきっとたくさんあると思います。
その様な状況の中でネトゲを選ぶのは、きっと心の中にゲームだけでは埋められない隙間があるから…
自分に存在を認めて欲しい…
人の優しさや温もりに包まれたい…
ネトゲに向かう理由は人それぞれ…そして十人十色の理由が全て肯定される世界がネトゲにはあるんだと思います。
だから思うのは、リアルでもネトゲでも人と人の出会いと繋がりが大切だということ…
現実とゲームの境界線は、思いの大きさに呼応していかようにも形を変えるということ…
この作品で私が一番好きなところ…それは人と人の繋がりがとても温かいところです。
そしてそれは時と場所を選ぶことはないということ…
盛岡さんは脱サラしてニートに成り下がった自分を人生の敗北者と定義付けて自分を卑下してきましたが、人と人との繋がりはそんな単純じゃないこと…
そして一歩踏み出す自分の隣に寄り添ってくれる人がいたら、それがどんなに心強いことなのか…
教えてくれる作品だと思います。
この作品をこんな風に素直に感じられるのは、能登さん演じる盛岡さんの存在が兎にも角にも大きかったから…
時には「恥ずか死ぬっ!」という心の叫びを連れて悶絶する姿には見ているこっち側まで悶絶が伝染った気がしたくらいです…
でも彼女の一番好きな表情は安心が感じられる笑顔…
コロコロと目まぐるしく表情を変える彼女は、私にとってとても魅力的な存在でした。
彼女がネトゲの世界で見て感じたこと…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、中島愛さんの「サタデー・ナイト・クエスチョン」
エンディングテーマは、相坂優歌さんの「ひかり、ひかり」
私にとってどちらも甲乙つけ難い両曲でした。
でも、「マクロスF」ではシェリル推しでしたが、ランカ・リーだって十分魅力的な存在でした。
だから、中島愛さんの曲を耳にすると…やっぱり嬉しいんですよ。
加えて曲調もアニメと息がピッタリで…
今期のアニソンBEST10の上位に食い込んでくる曲だと思っています。
この作品で唯一残念だったこと…
それは角川10話枠作品だったということです。
続編あっての10話ならまだ納得できますけど…
という気持ちも今回はゼロではありませんでしたが、原作者が体調不良で休載しており原作の既刊が2巻までという現実を踏まえると、今回の選択は妥当だったのかもしれません。
むしろ、続きに希望を抱いたままで視聴者が待てるところまでが放送された、のだとすると納得もできるというものです。
続きが気になっているのは、絶対私だけじゃないと思います。
まずは原作者の体調が快方に向かわれることを祈るばかりです。
楽しみに続報を待ちたいと思います。