岬ヶ丘 さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
いつか光が見えますように
2期の大きなテーマである「ひなたのいじめ問題」はアニメでも原作に忠実に描かれている。原作でも読み進めるのが心苦しい回も多く、それが映像化と思うと気分が落ち込む部分もあったが、非常に重要な問題に踏み込んだ姿勢は評価したい。クラスで新たないじめの標的になるかもしれないことを素直に怖いと言いながらも、自分の行動に後悔はないと言い切る彼女の心の強さが光った。一方で親代わりの姉・あかりのひなたがいじめられていると知ったときの素直な心情や、加害者生徒と担当主任とのやり取りなど、改めていじめ問題の難しさを感じる内容だった。
1クール目はやや将棋成分は薄めだったが、2クール目では零と名人の対局や、島田と柳原の棋匠戦など棋士・人間として将棋を通じた戦いや生き様が描かれる。2クール目は平昌五輪の影響で一か月ほど番組が休止したり、最終回は2話連続放送など変則的な番組編成になってしまい、戸惑う部分もあった。終盤は零とひなの二人の心理的距離の縮まりを感じさせながら、迎えた春、ひなが零の高校に入学するという部分までを描いている。2クール目の区切りとしては妥当だと思う。
零がひなたの出来事をきっかけに何とか川本家の力になりたいと必死になるが、空回りしたり見当違いの方向に進んで行ったり・・・。落ち込んだり迷ったりを繰り返しながらも、「誰かの力になりたい・誰かに必要とされたい」という気持ちを育んでいく零の姿を丁寧に描いていた。そしてそんな零を気にかけ温かい言葉をかけてくれる棋士仲間、顧問の先生、部活の先輩など優しく魅力的なキャラクターも印象的だった。
いじめ問題に関しては作中で根本的な解決が示されたわけではなく、視聴者への問題提起といった側面も強い。皆がひなたのように行動できるわけではないし、周りの人間に恵まれている者ばかりではない。ではどうすればいいのか、何が正しいのか、いじめはある意味普遍的なテーマだと思う。原作がアニメ化されるまで多少時間は経っているが、今でもいじめに関する報道は絶えることがない。私たちがこれからもずっと考えていかないといけない問題なのだろう。
3期に関しては2期で綺麗にまとめている感じもするので、ここまででも十分満足かな。この物語をNHKで放送したことの意義は大きいと思うし、最近のNHKはアニメに力を入れている印象が強いので春クールからの作品にも期待。
視聴日 18/4/3