DEIMOS さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
制作の思い迸る地方創生アニメ。
PA.Worksによるお仕事シリーズに位置付けられる、某北陸地方の観光協会で働く女子の仕事振りを描いた作品。
PA.Worksといえば、言わずと知れた、富山県に拠点をもつ、有名アニメ制作スタジオ。これまでにも、青春シリーズ(true tears, taritari)やお仕事シリーズ(いろは、シロバコ)などオリジナル作品を数多く手がけてきた。その際、地元の背景シーンを多用することで、数多くの聖地巡礼者を北陸(富山、石川、福井)に呼び込んできた実績がある。(私も、これら聖地にはもれなく訪問済み。)この「地元愛」をより直接的に具現化したのが、本アニメと言えるだろう。
地方創生、地域活性化という社会課題に、一アニメスタジオが挑む意欲作であり、その心意気は賞賛に値する。しかし、結論からいえば、アニメというオタク向けの媒体でこのテーマを扱うのはややチャレンジグすぎたかもしれない。視聴者層の多くは都心にいる若者である可能性が高く、(都心で夢を追う若者を描いた)Shirobakoと比べても、彼らからのシンパシーを得づらいだろう。
ロボット・AI・SNSの活用、廃屋・廃校の有効活用、婚活パーティ、UIJターンなど政策立案の現場で実際に話題になっているキーワードを散りばめてはいるが、アニメ自体の面白さを強化するには至っていない。手を替え品を替え、地方創生のための方策を模索し続けて、淡々とアニメが終わっていった印象がある。「3種の神器を集めて祭りを復活=アニメ制作に携わって夢を実現」のアナロジーなのだろうが、Shirobakoのように、わかりやすいハッピーエンドを作れないのが、このテーマを扱う際の課題として残った印象。
作画面のクオリティはまずまずで、(やや所帯じみているが)可愛い女性キャラを配置したのはせめてもの救い。皆いい歳の大人なのだから、色恋沙汰はもうちょっとあっても良かったか。