ダレイオス さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
将棋アニメとしては出来はとても良いと思います。
まず思うことは作画が独特かな
どうもでもいいシーンを映したりするシーンが多くて
それが目を引きました。
アングルも独特でわざわざこのような角度から見せなくてもいいのにな的な
見せ方が多く、演出は個性的だと思いました。
カメラワークは人物が動くのではなくて
カメラの方が動いている感じの時があり、そういうシーンは印象的で
見ていて面白く作画的な楽しみがありました。
このアニメの制作会社の癖の強さも
あまりなくて見やすかったのも良かったです。
そしてストーリーは、あまり冴えない主人公の少年が将棋をしている所から
始まるのだけど、ルールの説明とかはなくて淡々と進んでいました。
少年は幼い時に将棋の大会で優勝したことがあるような回想があったので
相当な将棋の腕を持つ少年だと想像はつきましたが
その後、判明した設定は何と17歳の高校生で将棋のプロ棋士でC1クラスの五段らしい
つまり将棋のエリートかよというもの
内容はプロ棋士はどういうものなのか?という描写が多かったです。
どういうものなのかといっても将棋の強さとかでなくて
対局通知書が郵便で送られてきたりとか
意外に知られていない、細かい描写が多くて
細かいシーンとかを見ているとプロ棋士はどういう生活をしているのか
ということがわかるのは面白かったです。
ギャグ色は結構強いです。まじめなテーマがある内容なのだけど
所々、勢いまかせなギャグが多かったかと
出てくるキャラもギャグキャラ寄りのキャラは多く
チョット変な人だなと思えることも多かった。
ギャグ自体は寒いギャグなのだけどテンポの良い所は面白いので
個人的にはギャグは楽しめました。
人によって非常にギャグは多いのでクドいと感じるかもしれません。
1話から最終回までずっとあるので
キャラクター描写は主人公以外のキャラもしっかりしていました。
例えば幼い時から主人公を見ていたプロ棋士の二海堂がどのような思いで主人公を見てきたのか
そういった思いの描写は伝わってきたので
しっかりとした思いを持っているライバルキャラの描写は素晴らしかったかと
他のライバルキャラも将棋について人生を賭けている
ということがヒシヒシと伝わってくるエピソードが多くて
それらがあるからこそ、負けたくないという気持ちが伝わってきたので
主人公の対戦相手のキャラとしてのキャラクター描写は凄く良かったです。
そして、それを見た主人公が色々考えて悩むストーリーで
自分の答えを模索する内容だったのは色々考えらせられました。
主人公を影で支える三姉妹の青春ものとしても
恋の悩みとか年頃の女の子らしい場面とかはとても良くて
楽しめる描写が多かったです。
三姉妹それぞれのキャラの個性も出ていて
日常シーンでそれぞれがどういうキャラなのかと手に取るように
わかるキャラクター描写がされていたので
三姉妹のキャラはとても良かった。
ギャグが多いわりには、シリアスや重い設定も多い。
主人公の家庭環境はとても重かったです。
子供なのに自分の本当の気持ちを押し殺して
将棋の道に進んだこととかはとても重かったです。
無理にここまで重くしなくても・・・とは思いました。
シリアスも多かったです。
ただシリアスに関しては将棋の世界は非常に厳しいので
将棋の世界の厳しい現実を描く上では
必要だったかなとは思いました。
特に主人公はプロ棋士になり勝ち残った人間で
そこに到達するまでや到着した後もにも、いくつもの他人の夢や希望を打ち砕いて
きたわけなので、その道のりの描写を誤魔化さずに人間ドラマとしてキッチリと描けていたのは
良かったです。
将棋ネタについては将棋界のことが詳しい人には
ニヤリとするネタが多くて楽しめることが多かったです。
自分の名がついた戦法名を作りたい的なネタとかは
ニヤリとしましたね。
そういった細かいネタは面白いです。
知らない人でも順位戦で降級点が付くと辛い的なネタや
負けを挽回するための戦いの辛さなどはプロ棋士は負けると辛いという
現実を描けていて、その大変さは伝わってくる内容だったので
見ていてプロ棋士の凄さを実感出来るんじゃないでしょうか
それがわかれば面白いと感じることが出来ると思います。
特に順位戦で10戦ほぼ全勝じゃなきゃ昇級出来ないなんて
将棋界のことを知らない人が聞いたら驚きでしょうが
事実なので厳しさの描写がしっかりしていたことについては良かったし評価したい。
将棋をやっている所はこれは将棋を指したことがある人でないと
流石に厳しいかなとは思いました。
「穴熊」や「居飛車」や「振り飛車」や「角換わり」なんて
なんのことやら?になるでしょうね。
ただ意味は調べれば誰にでも戦法の概要は理解出来るものなので
知っていれば、将棋を指している所は楽しめると思います。
その戦法には、そんな意味があったのか・・・的な
意外な展開は楽しめました。
あと調子良かったのにたった1手の悪手が
響いて負けちゃうとかの描写とかは面白くて
将棋の怖さの描写も出来ているのでそういったシーンは良かったです。
他にもプロ棋士は勝ちと負けがギリギリの所で戦っていると
いう描写もあったりしたので、わかる人にはいい対局だったなと思える部分が
出ていたのも良かったです。
問題点としては2クール目からはダイジェストや主人公以外の他のプロ棋士の対局が
増えたせいで対局のシーンはあまり丁寧に描写しきれていなかったことが多く
何で勝てたのか負けたのかがわからなくて
勝ったんだ負けたんだぐらいしかわからなかったのは気になったな
後半の対局はもう少し丁寧でも良かったのでは?と思った。
気になる所は未成年が飲酒している描写があったり
法律に違反する部分はテレビアニメ的にはどうなのかな?という点ですね。
意外に簡単に語られてたけど人によっては引っかかる行動でしょうね。
強さのインフレも気になった。主人公は小学4年生で奨励会初段より
チョット弱いくらいの棋力ぽい描写があり香子が中学2年生で
義弟である主人公にはかなわないぐらい弱いそうですが
奨励会で主人公と対局するぐらいなんだから奨励会2級か3級ぐらいなくないかな
もしかしたら奨励会1級だったかも・・・とすると
香子て中学2年の女の子と考えると棋力は天才の域じゃないの?
主人公も小学4年生で奨励会初段よりチョット弱いくらいの描写て・・・インフレだよなありえない強さ
と将棋界のことが詳しい人が見たら、香子が落ちこぼれと言うのも含めてありえない設定だと思う。
将棋のフィクションて建前上は男女平等なのはわかるんですけど現実は違うからね。
声優さんについてはモノローグ風に語られる時の喋りは気持ちのこもった
演技が出来ていて演技力はしっかりしていました。
個性的なキャラは多かったけど演技力のおかげの部分もあるので
しっかりとキャラを演じることが出来ていたのは良かったのではないでしょうか
声優さんについては問題なかったです。
まとめると独特な作画は見ていて面白く
主人公の身の回りの人やライバルのしっかりとした
キャラクター描写も良くて、それを見た主人公が色々と模索する展開は
楽しめました。
将棋界の厳しさは描けてるし、将棋ネタはニヤリとする所があって面白かった。
将棋を指している所は1クール目は楽しめたが
2クール目はダイジェストなのと主人公の対局が少なくなるのはチョット残念でした。
ストーリーに関しては一見散らかってるように見えるのですが
色んな人が登場して、それぞれの思いが交錯する内容で
それを主人公がどう思うのかがテーマだったと思うので
散らかってはなくて実際はまとまってたんじゃないんかなと思う。
なので個人的にはストーリーは満足でした。
将棋アニメとしては出来はとても良いと思います。