101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
喰を選んでる場合じゃない!!
原作コミックはアニメ視聴後に第一部9巻~レンタル中。
あからさまにグロそうなタイトルに近寄りがたさを感じ、ずっと敬遠していた作品。
ですが今年に入って、本作が草食系男子が肉食を知るストーリーなど陳腐とばかりに?
主人公が人間しか食べられない喰種(グール)になっちまう(あとは{netabare} コーヒーが飲めるのみ{/netabare})
という情状酌量の余地?がある物語と知り、今更ながら追いかけ始めました。
そこそこ高評価しながら申し上げるのも心苦しいのですが、
この作品、やっぱりイカレテいますw変ですw
ですが、変ゆえに、普段、我々が世界を見ている視点をズラされて見えてくる現実……。
例えば、人間がゴキブリなんかに向けている害虫駆除すべしという共通認識。
その嫌悪の対象が、より人間に近い形と感性を持った喰種に向けられた時に見えてくる
排他的な人間社会の残虐性とか。
例えば、文字通り弱肉強食な喰種の論理が、人間社会に衝突した際にこぼれ落ちる、
強者が弱者を搾取する競争、格差社会のグロテスクな一面とか。
こうした思索による収穫を、グロを必要悪とみなす免罪符にしつつ、
凄惨な作品世界に引きずり込む構成が狡猾です。
私も特に好んでスプラッターを観るような趣味でもありません。
ですが、本作を観ていると、人体捕食を軸にした、出血多量、嘔吐、拷問、部位欠損……。
こうした醜悪な演出が、人を喰っても読書やグルメ(笑)も忘れない、
喰種たちの芸術的センス?がスパイスされつつ、腹に押し込まれていくうちに、
不可解なことに、段々キモチヨクなってくるからキケンですw
明らかに食事時の視聴は控えるべき本作ですが、
意外と私はコーヒーのお供などに視聴したりしていましたw
人間が心に封印している内なる“美食家”のタマシイが目覚める!?
人としての倫理観を守ろうとする主人公を終始揺さぶる甘美な誘惑が、
画面から視聴者の方へも漏出してくるからアブナイですw
そしてラスト、{netabare}禁欲と快楽の狭間で揺れる主人公が抱く葛藤の振幅が、
常軌を逸した外的ストレスにより、快楽方面へと昇華する展開は飛距離十分。
これも正しいかどうかは別にして、
搾取される側から搾取する側へと覚醒を遂げた、
主人公の異様な高揚と興奮が伝わって来ました。{/netabare}
好きなキャラは真戸 呉緒(まど くれお)上等捜査官。
{netabare}喰種への復讐心をこじらせて、敵を多彩な方法で精神、肉体両面で嬲り尽くし、
彼らから武器(クインケ)の材料を毟り取りコレクションすることに
人生の意義を見出してしまった。
読んで字の如く、マッドな先輩捜査官殿w
彼が主人公ら喰種たちに浴びせる憎悪の言葉は、聞くに堪えない罵詈雑言ばかりですが、
人間社会を守るという視点から考えれば至って正論に思えてくるから困ります(苦笑){/netabare}
正義とは何だ?この戦いに意義はあるのか?
このイカれた世界の真実は?仕組んだのは誰だ?
長期連載コミック原作物としては典型的な牽引法ながら、
その典型を視聴者に提供するネジのはずれた登場人物&喰種らに対する、
怖い物みたさと合せて、続編への興味を持続させる引きも良好。
来年予定されているというTVアニメ3期。原作コミック第二部アニメ化。
私も是非リアルタイムで美味しく頂けるように、
旧作をコーヒーと共に胃へ流し込んで、狂宴に駆け込みたいと思います。