runa21 さんの感想・評価

2.9
物語 : 2.5 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態：観終わった

世界は広い

初めてキノの旅を読んだときは
高校生の時で、

正直言って
「なんじゃこりゃ！！」

と思って、この本を読んだことを
後悔したほどだった。


だけどふとした時に、
なんとなくこの物語を思い出す。
そして再び2巻を手に取ってしまった。

そして再び
「なんじゃこりゃ」
と思うことになるんだけど、

アニメ化したことを知って、
やっぱりこのアニメを見てしまった。


するとやはり
「なんじゃこりゃ！！」
という感想しか思い浮かばない。


なんど同じことを感じながらも
この物語が時折頭をかすめることがあり、
そしてこういう物語だと知りながらも、
また見てしまうという愚行を犯してしまう。


面白いとは正直言えない
でもよくわからない中毒性はあるんじゃないかと思う。




どういう時に
キノの旅を思い出すのかというと、
やっぱり自分の「普通」だったり「常識」が
覆されるような瞬間を目の当たりにしたときかな。


高校生の時の私よりも、
大学生の頃の私の方が世界（視野）が広まって、
大学生の頃よりも
社会人になってからの方が
更に世界（視野）が広まって・・・


この年になって、ようやく
「普通」なんてものは絶対にないんだ
とこの物語を通して感じることが出来た。
「そういう人もいるかもね」と思えるようになる。


世界が広まるごとに、
自分の中の「常識」だったり「普通」と言ったことが
実はそうではなかったりすることが多々ある。

そのたびに、
この物語を思い出す。



私の今まで生きてきた世界は
多分この物語の一つの国の中の世界でしかなく、
この世界にはもっとたくさんの
それこそ理解できないようなルールに沿って
生きている人もいるんだ。


その国の中で
その国のルールの中で生きていることって
とても楽なんですよね。
だからこそ、命の危険があったとしても、
新たな世界に踏み出すことを恐れる人も結構いたりする。


外の世界（旅人）の視点だと、
それがあまりにも歪んだ価値観の中にあることを知るのだけど、
そこの国に住んでいる人は、
そのことに違和感を全く感じない。


ある意味究極のエゴイズムなんですよね。


すごい皮肉ですよね。

多分「なんじゃこりゃ」って思って
この物語を嫌っていた時は、
さまざまな世界に暮らす人たちを
ちょっとバカにしていたり、
こんなところには絶対に暮らしたくないなと思ったり、

外の世界を受け入れられないんです。


でも、自分の常識では考えられないような
ルールにのっとって暮らしている人は
意外と多いんですよね。


キノの旅では「国」として描かれていますけれども、
（もちろん国もそうですが）
人、一人一人もそれぞれの価値観、常識は結構違う。


昔はその国ごとに
どこか嫌悪感を抱いたものだけれども、
（だからどうしてもこの物語を好きになりきれない）

そこを「おもしろい」といって
旅をしているキノ達の姿をみて、
嫌悪感を抱くよりも、
好奇心を持って新しい世界を満喫することの方が
人生が楽しそうだなと思った。

↑多分こう思った瞬間に、
価値観はがらりと変わったと思う。


私にとっては
こんな風に「がつん」とやられた作品でした。


上手く文章で表現できなくて
本当に申し訳ないのだけれども、
とにかく価値観を変えられた作品の一つです


この物語の最も魅力的な所って、
多分このアニメが終わった数年後に
じわじわ来るところだと思う。

一回見たところで
やっぱり「なんじゃこりゃ！」
しか感じない。

でも、
数年後ふとあるときに
あんな物語があったなと頭をよぎる瞬間があって、
その時になってようやく、
この物語の不思議な魅力がわかるんだと思う。
（経験者談）