クロシバ710 さんの感想・評価
2.6
物語 : 4.0
作画 : 1.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 1.5
状態:観終わった
過度なグロ表現が、良いストーリをかき消した。
序盤の物語の展開が遅く、死ぬほど退屈である。
おまけに、写実的に描かれた田舎の風景の中に、
ハレーションを起こすキャラが次々に登場する。
そのキャラ達の、物理的に不可能なヘアースタイル、
重力に逆らって、上や横に伸び、またはトグロを巻く、その髪型
を見て、僕は何度、ギブアップしようと思ったか。
とにかく、14話まで、お話が恐ろしくスローである。
ここまで退屈なストーリーに耐えて見てきた人は、かなりの”強者”だと思う。
そして、ここまで来ればれば、あとは完走できると思う。
序盤で、悪役だった、吸血鬼と、その仲間たちが、終盤、村人達の
逆襲により、まるで、被害者のように見えてしまうストーリーは
秀逸だと思った。
それは、あたかも社会の多数派が、少数派を抹殺しているようにも、
見えるからだ。
村人みんなが、集団ヒステリーを起こして、起き上がった人を
虐殺しているさなかでも、理性を保ち、罪の意識に苛まれる男性、
たくさんの村人の血を吸って、殺した事の天罰が下ったと感じる若い女性、
村の古い因習や習慣に、絶望し切っている若い僧侶室井と、
同じような絶望を背負う、スナコとの運命的な出会い、魂の共鳴、
これらの物語の素晴らしい要素や、深遠なテーマが、
行き過ぎたグロな表現でかき消されてしまったと感じた。
太い木の杭を、起き上がった人の胸に打ち込み、
多量の返り血が飛び散る表現。
太陽の光を浴びて、滅んで行く、起き上がり人達が、
まるでウジ虫によって、皮膚が食い尽くされるような表現。
物語の終盤は、このようなグロな表現のオンパレードになり、
大切なストーリーが、やりすぎたグロ描写の影に追いやられてしまった。
もし、この作品が、
退屈な前半を圧縮して、全体で12話ぐらいだったら、
B級ホラーのような、グロ描写がなかったら、
スナコを、妖怪のような作画ではなく、普通の少女にしていたら、
辰巳の首が吹っ飛ぶ、ラスト・シーンがあったら、
この作品は、僕にとって名作アニメとして心に刻まれたと思う。