Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
秘密こそ、絆の証。
この作品の原作は未読ですが、ヒロイン役でくぎゅが出演すると知り視聴を決めた作品です。
きっと私だけだと思いますが、今期くぎゅの出演されている作品が多めに思えて仕方ありません。
エルドライブ、GRANBLUE FANTASY The Animation、正解するカド、ツインエンジェルBREAKにコンビニカレシ…
現在放送中の作品まで含めると数は更に上回ります。
しかも結構重要な配役を担われているので存在感もひとしお…
これは私にとって嬉しい事以外のナニモノでもありません。
この作品に主人公はヴィクト・プーチン…
人が過去を切望したとき、その時間を喰らう悪魔「計」が存在するこの世界で、彼は計に対抗する「時間の支配者(クロノスルーラー)」です。
生きていれば後悔する事ってたくさんあると思います。
大概の後悔はそこでの過ちを正し、前を向いて歩いていく糧に出来る類のモノ…
でも、中にはその後悔を前向きに捉える事ができず、過去に戻ってやり直したいと思う事も一つや二つではありません。
そんな人の弱みに付け込んで時間を喰らうのが「計」という訳です。
計に時間を奪われたら…その計を倒さない限り奪われた時間を取り戻す事はできません。
そして主人公のヴィクトは計に時間を食われた一人…
食われた記憶はその部分がすっぽり本人から欠落してしまいます。
記憶が欠落するということは、誰かと過ごした大切な時間や思い出…或いは経験、知識などが無くなってしまうということ…
自分以外の人は覚えているのに、自分だけが無くしてしまった出来事の数々…
きっと症状は記憶障害の一つと同じような症状なのでしょうが、この状況への恐怖を感じずにはいられません。
だってついさっきまで知っていた事、覚えていた事が突然そっくり抜け落ちてしまうんです。
どれだけの空虚を感じるんだろう…
中には決して手放したくない記憶や思い出だってあると思うんです。
でも計は一切容赦なく喰らえるものを喰らえるだけ喰らう存在…
こうしてヴィクトの記憶を取り戻す戦いの火蓋が切って落とされ…物語が動いていきます。
「時間を失う」にはきっと色んな形があると思いますが、この作品でのそれは我々の知る常軌を逸する欠落の仕方をするのが特徴です。
本来の物事の在り方…有るべき姿は決まっていて、加齢と共に衰えはあるにしろそれは基本的に不変です。
でもその概念そのものが覆ってしまうとすると、目の前に広がるのは本来あり得ない状況…
それに一度計に時間を喰われたら失うだけじゃなく、傷口からの流出が止まらなくなるんです。
人が流血してそれが止血できずに血を流し続けたら人は生きてはいけません。
その人の生きてきた時間が流出し続けるのも過程は全く異なりますが、生きていられない時点で結果は同じ…
違いは「生きる」ことに対する源泉であるかどうか…
そう考えると、時間の方が残酷なのかもしれません。
きっと身体の不調なんて何もない…あちこちピンピンしている…
血液が枯渇して身体機能が低下した状況とは訳が違います。
今と変わらない状況の中、強制的に命の灯が消されてしまう…
これって、心の準備をする時間なんて微塵も無いことと同じ事だと思うんです。
だから…そんな道を辿りたくないから、本人も…そして本人以上に周りの本気の気持ちには圧倒せざるを得ませんでした。
大切な人を守る…
でもそれはある特定の人が大切であると認識できるからです。
守る側、そして守られる側…どちら側でも認識できなければ気持ちは複雑だと思います。
叱咤激励するくぎゅの叫びが心を震わせます…
これだけ大切に思ってくれる人が他にいるだろうか…
きっと自分には何の得もない…なのにどうしてここまで身を挺してくれるのか…
人の心の深さを感じる事のできる作品だったと思います。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、Fo'xTailsさんの「RULER GAME」
エンディングテーマは、やなぎなぎさんの「時間は窓の向こう側」
どちらの曲も好きでした。いつかカラオケで挑戦してみたい曲です。
1クール13話の物語でした。
物語は一旦区切りの良いところで幕を引いたという感じが強いです。
何故なら、物語の核心にはだいぶ距離があるような気がするからです。
これから彼らがどの様な道を歩いていくのか…そしてどこに向かって進んでいくのか…
続編が放送されるなら是非視聴したいと思います。