kurosuke40 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
集合的無意識の擬人化実験
記憶にないことは存在しないこと。
存在しても、記憶になければ、存在しないと同じこと?
玲音は存在しなくなったが、視聴者の記憶には残っているということ。
集合的無意識という概念から擬人化された玲音。
擬人化といっても単なる2次元での擬人化ではなく、肉体を持った一個体として擬人化されている。
(正直「擬人化」よりふさわしい言葉がありそうな気がする)
集合的無意識の特質をもったまま、個としての生きる玲音と、
個から神の概念に位置取ろうとした政美のお話。
その性質上玲音はいろいろな人物に影響を受けるが、現実の個として主な接点を持つのはアリスやお父さん。
今ここにある玲音としての感情で優先されるのは向き合ってきてくれたアリスやお父さんで
「I am your father」とポッとでてきた神様ではない。まぁ神様の接し方次第ではあったとは思うけど。
構造的には、誰の心にもいた玲音が、アリスのために誰の心からいなくなるという供犠の話で、
「まどマギ」と比べると、個として寂しい感情が残る玲音の方が残酷だけど、新たな関係を作っていける希望もあるのかもしれない。
記憶にないことは存在しないこと。
玲音の操作の影響範囲はあくまで物語内。つまり視聴者の記憶までは消せない。
最後にアリスが玲音と面識がある勘違いをしたのは、視聴者層からの無意識の共有のせいかもしれない。なんてメタに妄想しすぎか。
あと政美先生は欲張りすぎたんだと思う。
そのうえ神の上の神の存在について反論できないとは神を名乗るには準備不足すぎるぞ、先生。
正直もっと分かりやすくはできたとは思うけど、この味は出なかったとは思う。
こういう作品は、解説を読んでから感性的に視聴するのが楽しいのかもしれない。
蛇足
神様と玲音が相手の言葉を言い合う演出がなんか好みだった。
わざわざ口に出すのは、ちゃんと受け取った確認なんでしょうね。
お父さん、情緒不安定でこっちが不安になるわー。
イヤリングはやっぱり色っぽいですね。