DEIMOS さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
腐女子要素を適度に薄めた良作スポーツアニメ。
ジャンプで腐女子向けに根強い人気を持つ漫画原作がプロダクションIGによってアニメ化。
私は、漫画ではなく、アニメから入ったので、これが腐女子向けに人気の強い作品だと知って驚いた。男女の恋愛要素がゼロであり、キャラクターの配置がスラムダンクに近いので、腐女子向けに人気が出るのも納得感があるが、スポーツバトルアニメとしても王道感があるのだから。
とりわけ、スポーツアクションの作画が、リアリティと迫力の両立を追求している。線画表現を高レベルで実現した甲斐泰之の仕事ぶりは特筆に値する。IGは、テニプリ、黒子と腐女子路線の制作を請け負ってきた経緯を持つだけに、スタッフにも腐な方々が一定数いたようで、色々と問題を起こしていたようだが、作画面では、それらのマイナスを払拭するだけのパワーがあると思った。キャラデザは、岸田隆宏、作監は、千葉崇洋という安定の面子。
のちに漫画を読んで見ると、非常に読みづらく、絵柄に抵抗感を感じた。女性作家というのもあり、造形にヒーロー的格好よさ&ヒロイン(清水さん?)の可愛さが皆無なのだ。だからこそ、男性ファンよりも女性ファンが多いという結果を生んだのだろう。(イベントなどで山口のコスプレをする女性を何度も見たが、男性からすれば、山口には何の魅力も感じられない。)つまり、(他のジャンプスポーツ漫画に比して)腐要素が特段に強いわけでなく、男性ファンを惹きつける力が相対的に弱いために、腐女子向け作品としての地位を確立したのだと思われる。その点、アニメは、絵柄が万人受けするように大幅に改良されているので、男性含め、ファンの裾野を広げることに一定の貢献をしたのではないか。
テニプリや弱虫ペダルやダイヤ、黒子などのように、キャラソン展開をしていないことも特筆すべき。制作サイドは、本作のターゲットを腐女子に留めるつもりはなさそうだ。
大会2つの終わりまでを3シリーズに渡って描いたシリーズ構成も良い。中途半端なところで切らないのが良かった。なお、高校1年生の入部から大会までを話数をかけて描く構成は、スラムダンク以降のスポーツ作品(黒子、ダイヤ、おおぶり、弱虫ペダル等)の主流となっている(それを破った「メジャー」はやはり偉大)。