お茶 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
少女少年
本作ちはやふるはかるた競技を題材にした作品。少女漫画なのに少年漫画の要素、努力、友情、勝利まではらんでいる点がこんなにも評価されていることに繋がっていると感じます。
なので、少女と少年の求めるもの、それを察知し、要所要所でそれらの要素を十二分に発揮していました。画は少女漫画のそれでありながらも、トーンが花になったりと乙女な要素が極力抑えられている。一方で、心理描写など少女漫画は心で思っていることがセリフになっていることが多い気がします。
そのように、かるたという競技にはそのようなトーンは必要ないと判断し、心理描写の為の心の声は採用するといった作者のバランス感覚は緻密。何のためにかるたをやるか、という目標においては恋という少女要素を使い、かるた競技に対しては、努力、勝利であったりと少年要素で構成されている。
ともあれ、かるたという競技を面白く魅せれたことが何よりも本作の功績だと感じる。
そもそもかるたを競技として知っている人は少ないだろうし、そこに関心を持ち、読者の心を掴むことは容易ではない。かるたのルールから説明する必要がある。そこにおいては、新入部員を加入する流れから一描写として視聴者に見せていた。ただこれを先にやってしまうと順々に説明しないといけない流れになってしまうので、メインヒロイン達の小学生時代を移し、かるたをやるキッカケになった動機と説明の省略を1話から見せていたことが成功と言える。
かるたにはそれぞれの型があり、攻めかるたや守りかるたと言った戦法があったり、相手の得手不得手を利用したり、耳の良い人、記憶力のある人、反射神経、気分のムラといった、勝負という事柄を面白く魅せる要素が沢山詰まっている。戦闘的であり心理的でもある。
少女漫画の中の少年漫画。肉弾戦であり心理戦。中間的でありながらも適材適所な作りての判断が素晴らしい作品。