Dkn さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
コウカイの熱い海水
まあ、この話をざっとまとめると、
“厚顔無恥な年寄りを批判的に描いた童話”です。
実際作者は軍医だったところから作家になっているので
伝えたいことも多くあったのでしょう。
山村さんのトークショーを聞いたことがあるのですが
そのトークショーレポートまとめがあったので
そちらをご覧ください↓TOPに出てきます
あつぎ映画祭【こどもと映画】山村浩二監督トークショー レポート
山村監督が説明してくれたこと以外で感じたことをレビューしてみます。
{netabare}
鰐が黒で表現されている
最後に鰐を祀る部族の肌が黒く
本来赤いはずのタコの体も黒く描かれる
原作の絵を踏襲してそのまま描いているので忠実なのですが、
赤い鰐を際立たせる映像のギミックとしてよく出来ています。
タコは、足は12本だと言っていますが
数が数えられないので間違っています。足は8本ですね。
鰐は1本しか数えられません。
結局12日間ではなく8日間しか一緒にいなかったわけです。
長生きなのでしょうが誰が数えたのでしょう
数を数えられない鰐に年数はわかるのでしょうか。
タコが赤くならずに鰐が赤くなった理由とは。
日本語訳において最後のナレーションの意味とは何なのか。
{/netabare}
ショヴォーの亡くなった息子、ルノー君とのやりとりで出来た“ルノー君のお話集”は
フランス文学の中でもあまり知られていないもの。ショッキングでトラウマになりそうなお話が多いです。
けれど息子との話と聞くと、ショヴォーの描きたかったことがわかる気がします。
残酷で心的苦痛に感じるお話でしか残らないことはあります。
痛みを知ってはじめて人に優しくなれるように、彼は自分の見て聞いて感じたことや、
それを通じての“教訓”を息子にあげたかったのでしょう。
作品を書いた1920年代にあった主義,思想,主張,倫理観など、
第一次大戦を経験したショヴォーの伝えたい想いがそこにはあります。
(実際、軍医として戦争を経験した後に書いた「戦場の後方で」を1917年に執筆しています。
映像や絵本ではギュッと纏めているので印象も少し違います。
レオポルド・ショヴォーの原作ではもう少し読み取れると思うので
気になった方は読んでみてください。オススメです。
捉え方で、人それぞれ視点をどこに重く置くかが異なるのが本作の良い所ですね。
独自の解釈をしてしまっても、面白いかもしれません。