一日分のビタミン さんの感想・評価
2.6
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 2.0
音楽 : 2.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
「ラブコメ」という免罪符
「これは恋愛がメインだから」。アニメに限らずよく聞くフレーズです。それだけ恋愛というのは物語におけるフックとして強力ということでしょう。
本作も仰々しい設定に反して恋愛が売りのようです。実弾が飛び交う割には作品全体に緊張感が薄く、なんだが普通の職場恋愛のようになってしまっています。恋愛モノとして見ると特筆すべきものはないのでどうしても設定に目が向いてしまいます。
本作の設定に関しては散々突っ込まれてると思います。「メインは恋愛」論からいくと突っ込むのが野暮というものです。そういう世界線なのです。はい終了。
それでも一点だけまずいと思うのは「武力衝突が放置されている」状態です。メインとなるべき恋愛描写にも影響が出てくるからです。軍隊が鎮圧せずに放置しているということはガス抜き程度の小競り合いにコントロールされていると示唆されます。ガチの戦闘にはならないと予測できてしまってサバゲーを眺めてるような感覚になる。管理社会というにはあまりに市民がのんびり暮らしていることも相まって一気に作品全体から緊張感がなくなります。結果、本作のキモであろうお相手の上官とのシリアスなやり取りが上滑りしてしまうのです。{netabare} 「おまえ死ぬぞ!(イケボ)」←いや死なないし…みたいな。 {/netabare} なんでこの人こんな芝居がかってんだ。 いや、芝居なんだけど。
深夜アニメという様々な制約のあるフォーマットでそこまで設定を詰められないという事情はあるかと思います(原作には書いてある、というのはナシで)。ただいくらでもやりようはあったのかな、と。
一例として挙げると同じフォーマットで管理社会を描いた”PSYCHO-PASS”があります。そこでは管理システム(シビュラシステム)導入の背景として格差社会の進展による社会不安の増大が語られています。また管理システムを巡る闘争はシステムに挑戦する犯罪者との闘いとして描かれます。彼らは手加減なしで本気で殺しに来るので一定の緊張感が流れていました。
「図書館の自由に関する宣言」というモチーフ自体は非常に興味深く面白いと思います。ただ本作によってもう使えなくなってしまった。パクリと言われてしまうからです。表現の自由を謳うのも結構ですが、著名な作家の皆さんには自身の社会的な影響力を鑑みて「題材も公共財」と思いを巡らせて欲しい所であります。