お茶 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
Yesterday Once More –
本作はタイムリープする作品ですが、青春物として二度と取り戻せない時間をタイムリープすることによって得られる体験は本作ならではであると感じますし、中々味わい深いものがあります。
タイムリープ自体に主軸を置いている作品は少ない。よくある未来や過去と繋がった展開とか、パラレルワールドとして描かれる作品は多数存在するものの、それ自体はほとんど手段だ。その点本作はタイムリープすることによるデメリットも演出されている。そこに注目したい。
成功も失敗もするという実感がこの作品には詰まっている。うまくいってとんとん拍子で進んでいく物語よりも、傷を負っていくほうが青春らしい気がするんです。誰だってそんな風にして、悩んだり、迷ったりもするけれど、青春を謳歌しきれない人のほうが多いんじゃないでしょうか。でもそれも青春ですよね…
本作は序盤タイムリープに目覚めて、好きな事に使い放題な楽しいストーリーでありながら、後半はシビアな展開。要は時間を駆けた分、本来気づけなかった事に気づけた。向け合えなかったことに向き合える自分になれた。
タイムリープしなかったら向き合わずに済んだのかもしれない。タイムリープしていたから向き合える自分になれた。いやタイムリープしていなくても向き合わざる負えなかったのかもしれない…その他様々な感傷に浸れる分、カタルシスを感じる作風になっております。
タイムリープすることによって都合の良い展開を描くだけではなく、良くも悪くも必要な時間として描かれた塩梅が良い。終わり方も考えさせる余韻があり、〆がどちらでもないトュルーエンド。スペクタルな是非よりも、これぐらいが丁度良い。これくらいが安心できる。これが良かった。