101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ロボに託した熱き想いは時を越えて……
庵野監督『シン・ゴジラ』地上波初放送を前に、
巷では晴れて大ヒット怪獣映画の関連作となった『エヴァ』一挙放送などが催されています。
私としては庵野作品で巨大な敵の威圧感と言えば、使徒だけでなく、
このOVA作品『トップをねらえ!』の凶悪宇宙怪獣も思い出さずにはいられない存在。
この宇宙怪獣、とにかくデカイ!デカすぎるw
ボスはデカければデカイほど良いという80~90年代前半のラスボス感の極致。
設定見ただけで諦めたくなる圧倒的なデカさ。
さらに取り巻きの雑魚の物量も凄まじい。一億、二億当たり前w
ゴジラの強大さに絶望した方々にも是非、
この宇宙怪獣討伐の無理ゲー感は味わって欲しいなと思います。
古今東西の神話、科学のウンチク、過去のエンタメ作品のオマージュ等を
全力投入して考察したくなる設定をそびえ立たせていく、
監督の作風は、本作でも相変わらず……。
と言うよりOVAという解放区で、色々、たがが外れて絶好調♪
SFオタクを存分にこじらせた末に編み上げた
宇宙は真空ではなくエーテルで満たされているとする“エーテル理論”を軸にした、
科学設定から迸る、熱い解説の数々は、
文系の私が一度、聞いただけでは半分も理解できない感じですが(苦笑)
ワープ移動等を可能にすると同時に、
それでも越え難い壁も人類に突き付ける、硬派な世界観を形成。
知恵熱が出そうな程、設定を詰めて、突き詰めて、苦境を示しておいて、
結局、それを突破するのは、努力と根性だ!ロボットだ!イナズマキックだ!
この明快なノリこそ、ロボットアニメの醍醐味です♪
生脚を曝けた女子の体育会成分と熱血ロボット成分の化学反応を試みているためか、
ロボットも腹筋に、腕立て、ランニング。
さらには{netabare}縄跳びに、組み体操、スパーリングまで披露w{/netabare}
美少女パイロットたちと一緒に汗を流して?作品を温めます。
そして何より熱いのが、
{netabare} 本作が一体のロボットに託した全人類の想いが、時の壁をも突破するという展開。
SFでは、しばしば、長距離移動や時空の歪み等で、
登場人物が浦島太郎になったり、時の流れの相違に男女が引き裂かれたりします。
本作でもまた、時間のズレによる悲哀を表現します。
でも、そこで落ち込むだけで終わらないのが本作の非凡な所。
“ウラシマ効果”上等。例え、時を隔てても、このロボットに賭けたい願いがある。想いがある。
むしろ、ここからが真骨頂。努力と根性だ!スーパーイナズマキックだ!
その情熱が表現されたシーンの数々に胸が熱くなります。{/netabare}
ラストは日本のOVA史上でも屈指の名シーンだと思います。
この庵野作品もまた物語の始まりとなった2010年代が、
今の時代に追いつかれた作品となりました。
が、例えば一体のロボと言う一点に、人類の英知を結集させ、難局突破を目指す。
後年の庵野作品における「ヤシマ作戦」や「ヤシオリ作戦」にも通じるこの熱量。
時を越えても冷めることのないこの熱い魂は、幾千年、語り継がれて行くのだと思います。