黒猫 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
リアル恋愛の頂点がとらドラ!なら、ファンタジー恋愛の頂点は凪あすでしょう。お見事でした。
truetearsを見たついでに恋愛アニメでトップクラスの評価を受けている凪のあすからも視聴してしまおうと思いました。
設定は海で暮らす人間である4人の少年少女、地上で暮らす人間の少年と2人の少女、計7人の恋の葛藤や心の成長を描いた恋愛ファンタジー。
まず海という世界観について。
この海に住んでいるという設定が神秘的で斬新です。作画も海の描写が入ることで他の恋愛アニメにはない神々しさが有りますし、人間の起源は海ですから、そこをうまく利用したなーと思います。
またこの作品のメインは恋愛模様なのですが、海に住む人間と地上に住む人間にはお互いに人種差別のような溝が有り、そこを乗り越えて主人公達は青春を謳歌していくので、社会問題への風刺のような要素も若干有ります。
ワンピースでいう魚人島みたいな感じです。
あそこまでひどくないですけど笑。
次にストーリーについてですが、
1クール目(1話〜13話)は、普通の恋愛アニメという感じです。仲間内でそれぞれ好きな相手が異なるため、関係を壊さないよう気持ちを言い出せないまま日常を送ります。
その中で嫉妬や喧嘩、友情など色々な経験をしながら成長しこのままでは前に進めないということで、最後の方でそれぞれが思いを打ち明けます。
そしてある事件が発生して終了です。
はい、ここまではまあ普通というか、よく恋愛アニメでありそうな感じ。
次に2クール目(14話から26話)。
ここから状況はガラッと変わります。ある事件をきっかけに、少年少女7人の関係性が180度変化してしまいます。
そしてその新たな世界観の中で再び恋愛の葛藤や痛みをを経験し、人を思うことの大切さを知るストーリーです。
凪あすの最大の特徴はやはり恋愛模様をファンタジー世界で描いていることです。
恋愛模様だけでも十分楽しめる作品ですし、面白いですが、それだけだと他にも作品はたくさん有りますし、正直普通です。
この作品はその恋愛模様を海に住む人間、そしてその海の秘密や神秘と絡めながらより壮大に、より美しく描いているのが非常に魅力的です。
海を絡めればとりあえず綺麗とか思ってんだろと最初は思ってましたが、2クール目からは海に住んでるなんてなまやさしいくらいの超展開が待っているのでお楽しみに。
ただ恋愛アニメなので好き嫌いは絶対有ります。
キャラが好きになれない場合はどうしてもイライラしてしまうでしょうし、言動が理解できない場合もあるでしょう。
あ、キャラといえば、この作品は嫌いなキャラが人によってバラバラなところも特徴的。
ヒカリが感情的で嫌い、カナメが陰湿な感じで嫌い、ツムグが大人ぶってて嫌い。
マナカは鈍感すぎて嫌い、チサキは悲劇のヒロインぶってて嫌い、ミウナはしつこくて嫌い、サユはなんかうるさくて嫌い笑(すいませんサユだけ嫌う理由が思い付きませんでした)
という風に嫌おうと思うとそれぞれ出てきます。
ちなみに私は不思議と誰も嫌いじゃないです。
全員根は良い子なので。
そこで見る前の方に言っておきたいのは、主人公達はまだ中2というクソガキなので、大目に見てあげて欲しいです笑。
中2だもんなと思えば、許せる場面も増えると思うので笑。
結論。恋愛の切なさや葛藤を美しく恐ろしい海と絡めながら描いた見事なファンタジー作品です。
恋愛アニメはそこまで好きではない私でも寝る間を惜しんで見たくらいの作品ですので是非!
※ここからネタバレなので未視聴の方はご遠慮下さい。
私がこの作品で1番好きなのは、ヒカリ、マナカ、カナメの3人が、5年後に体も心も成長せずそのままの状態で海から戻ってくるという設定。
親友のチサキとは5歳も離れ中2と大学1年という最も年の差を感じる時期。
そして小学3年でガキとしか思っていなかったミウナやサユは同い年で恋愛対象になり得る状況に。
リアルだったら倫理的な葛藤が有りそうなくらい絶妙に気恥ずかしい設定ですよね。
リアルに置き換えて考えてみると、中学の時一緒にお風呂に入ってた親戚の子がいきなり恋愛対象になったり、憧れだった大学生の家庭教師がいきなり同学年になるわけで。
いやー、なんともいえない気持ち悪さがあります笑。
それがとても見ていて新鮮でドキドキしました。
ヒカリが戻ってくる時に海が光った時は、きたきたきたきたきたーーー!!って思ってました笑。
※これはバトルアニメではありません。
1番好きなシーンはベタですが、やはり踏切のシーンですかね。誰も必要としてくれないと孤独を感じ始めて人前で泣いたカナメに、あんたはずっとここにいた!私の心の真ん中にいた!
いいセリフだなーおい笑
あと地味に好きなのはヒカリの姉のアカリと親父さんが喫茶店で会話した時に親父さんが、
わしも妻と永遠の別れにならない方法があったら、間違いなくそっちを選んでいただろうって言ったところ。
つまり、家族と離れて冬眠し自分だけ生きるくらいなら、たとえ寿命が短くなったとしても地上で家族と過ごすというアカリの気持ちは理解しているってことだろうけど、親父かっけーと思いました笑。