101匹足利尊氏 さんの感想・評価
3.6
物語 : 2.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
暴走蒸気機関車……カバネ射殺、斬殺、轢殺アニメーション♪
未知のウイルス感染者が成り果てたゾンビじみた不死者カバネに蹂躙された近世末期日本風の世界。
人々は鋼鉄の壁に囲まれた「駅」と呼ばれる砦でのみ生存を許される。
砦の間は「駿城(はやじろ)」と呼ばれる装甲蒸気機関車で行き来する……。
典型的でありながらバトル向きの世界観を寄せ集めた
壮観な基本設定を眺めているだけで、
刺激的なアクションシーンがいくつも浮かんで来そうです。
特に列車上という舞台は古今、多くのアクション映像作品でクライマックスステージとなったメッカ。
そして、女性キャラの“化粧”まで描画した仕事が一般紙でも取り上げられるほど、強勢を誇った本作の作画兵団。
彼らは思い付いた戦闘シーンを全部具現化できるだけの兵力を有していました。
出血量だけでなく、一体、どんな生業をしていたら、こんなに爆発するんだ?
というくらい火薬量が多いのも本作の特徴で、
爆散する建物からの脱出シーンなど、さながらハリウッド映画や、
それらをモチーフにしたテーマパークのアトラクションショーの如く超ド派手♪
反面うっとりする斬撃と爆発の影で、
個々のキャラに着目した心情描写等は片隅、或いは車外の関連小説等に追いやられた模様。
アニメだけを観ていると、キャラの言動に時折、説明不足による不可解さも……。
私は中盤、列車内での呉越同舟の如き仲間のギスギス感が、
急に打ち解けたムードになるのが不思議で、
その間を埋めたという後発スピンオフ小説『甲鉄城のカバネリ 追憶の邑』を購読。
なるほど、そこには確かにキャラごとに、
単体でもエピソードを展開できるだけの人物設定、過去のいきさつが開陳されていました。
アニメではとにかく沸き上がって来たアクションをメーターが振り切れるまで表現して……。
細々とした心理については、小説等でよろしくどーぞ。
というのが『カバネリ』メディアミックスのスタイルなのでしょう。
こんな作画兵団の使い方勿体ない……。そういう感想が出るのもごもっとも。
もう少しアクション描写と心情描写のバランスを重視して作品を構築すれば、
ゴージャスなBGMと相まって、
時代を代表する名作アクションアニメに昇華するポテンシャルはあるとは思います。
アクションシーンに湯水の如く作画ソースを使えるチーム自体が限られる昨今。
構想道半ば、万策尽きそうになっている他作品に作画兵団を少し分けてあげて。
と思ったりしたことも事実ですw
2018年に予定されているという新作アニメ。
これだけの強力スタッフ陣を誇っているなら、
戦闘シーンと心理描写に緩急を付けて、丹念に各駅停車して、
名作を目指すことを願うのが、日本アニメの将来を考えれば妥当な路線なのでしょう。
ただ、個人的には、何か、本作には今後も、終点までフルスピードの
特急アクション博覧会として突っ走って欲しい気もしていますw
もし後者の路線を往くなら、その際は是非、火薬量は多めでお願い致しますw