Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
そこは夢世界。欲望、希望、絶望が形を成した意識と無意識の狭間。
この作品はオリジナルアニメだったようですね。
前情報で「魔女」が関与していること、そしてたくさんの声優さんの起用が決まっていった事から、魔女が18人出てくるのかな…?
1人1話ずつ深掘りしたとすると全部で18話…それじゃ1.5クール作品ってこと…?
などと想像を膨らませながら視聴を楽しみにしていました。
私にとってそれは仕方の無いことでした。
何故なら名塚さん、くまちゃん、浅倉さん、いのすけ、東山さんなど大好きな声優さんの出演が次々に決まっていったから…
蓋を開けたら合っていたのは声優さんだけだったみたいですけど…
この物語の主人公は月城 遥人…
彼が眠りから目覚めた場所は他人の夢の中だったんです。
一方、現実世界では眠りから覚めない「眠り姫症候群」という症状の女の子が散見されるようになっていました。
明けない夜は無い様に覚めない眠りはありません。
他人の夢の中で遥人が課せられた任務…
夢の中で魔女化してしまった眠り姫症候群の女の子の目を覚まさせること…
もちろん、夢の中から現実世界に何かを作用させる事なんてできません。
夢の中で魔女化した女の子を開放し、その結果を現実世界にもたらすことが唯一の解決策。
そんな物語が静かに動いていきます。
夢の中で魔女化する…
これがどういう意味を持っているのか…
きっと自ら魔女になりたい、という女の子なんて只の一人もいないと思います。
言いたい事が言えなくて…
自分の自信と周りの期待のギャップが大き過ぎて…
言葉にならない凄惨な状況を突きつけられて…
頑張ったらその分だけ空回り…
現実に心が対処できなくなって、でも身を隠す場所も無くて身も心も満身創痍となった女の子の唯一の逃げ場が夢しかなかったとしたら…
せめて夢の中でくらい自分に素直な存在でありたい。
そう思う事の何が悪いのだろう…
何も悪くないと思います。
それじゃ、何故夢の中で魔女になってしまったの…?
あくまでも私見ですが、眠り姫症候群の女の子たちは夢の世界の自分に悔いや後ろめたさがあったからではないでしょうか。
心のどこかで現実から逃げてはいけないことを…
こんな事をしても何も解決しないことを…
でも精一杯頑張っている女の子に「まだまだ足りない」というのはあまりに酷な事です。
それに頑張っても物事の本質の解決にならない事だってあります。
私たちはロボットじゃなく人間なんですから…
頑張ったら疲れるし、時には寄りかかりたくなる事だってあるんです。
魔女化はそんな女の子たちの限界のサインであり心の休息だったのではないでしょうか…
夢の中で魔女を開放したら、彼には何が待ち受けているのか…
遥人をお兄ちゃんと呼ぶ、遥人にしか見えないリリィの存在は一体…
女の子たちの沢山の思いと願い…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
この作品を見て思った事…
やり直せる事…そのチャンスがあるって事は凄い事だと思いました。
だって、誰もにその幸福が均等に巡ってくる訳ではないのだから…
エンディングは物語に登場した魔女ごとに楽曲がありました。
個人的に好きだったのはリリィの「Wonderland」、杉崎佳代の「夢恋花」、そしてラップ調が新鮮だったネネの「too late」の3曲です。
1クール13話の物語でした。
この物語のラストはハッピーエンドだったんでしょうか。
これも…優しさなんでしょうか。
この優しさが振りかざせられるから魔女の相手が月城 遥人だったのかもしれません…
ちょっぴり不思議系が入っていましたが、総じて楽しみながら視聴できた作品だったと思います。