Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
七日に一度、その扉は開かれる
この作品の原作は未読です。
私はグルメや料理番組が好きな訳ではないので、テレビでこの系統の番組を見る事はありません。
それは漫画の世界でも一緒で好んで見るまでには至りません…
だからアニメもやっぱり駄目かな…と思いきや、決してそんな事はありませんでした。
最近の、例えば食戟のソーマ、甘々と稲妻や幸腹グラフィティなどに代表される料理アニメは、ワクワクしたり、心がほんわか温まったり、時には目頭が熱くなったりと本当に面白い作品ばかり…
それに作画やキャラデザが好みだと視聴にも俄然力が入ります。
…という訳でこの作品も視聴を楽しみにしていた作品の一つでした。
物語の舞台は「洋食のねこや」という食堂…
一見どこにでもありそうな個人経営の食べ処…といった感じなのですが、この食堂はとても不思議でお客さんの入り口の扉が異世界のあちこちと繋がっているんです。
でもその扉はいつも繋がっている訳ではなく、繋がるのは1週間にたった1日だけ…
私たちにはごく見慣れた食堂ですが、異世界の住人ともなると話は別です。
この物語では、様々な異世界の住人と扉との出会い好物に巡り合うまで…
そして、店内で過ごす幸福感と優しさで満たされたささやかなひと時が描かれています。
この作品はタイトルに「異世界」が入っているものの、きっとこの作品くらい心の温まるゆったりとした作品を私は他に知りません。
大体「異世界」という名がつくとバトル系の作品に偏りがちですから…
この作品では異世界から様々なお客さんが来店します。
中には人ならざる方も…
でもどんな方でもここに来る目的は一緒なんです。
自分の大好物を満足するまで満喫すること…
そして置いてきた仲間にこの美味しさをおすそ分けすること…
お腹が空いて、フラっと立ち寄ったお店の料理に魅せられその味の虜になる…
その中には初めて食べる食事の美味しさに舌鼓を打つことだってあると思います。
この作品の何が一番魅力的か…
自分の大好物を口に入れた瞬間の、思わずこぼれる笑み…表情が抜群なんです。
これまでの生活や文化の違い…或いは食の好みから、大好物は人それぞれ…
でも、美味しい時の顔ってみんな一緒なんですよね。
例えそれが異世界の住人であっても、人ならざる者であっても…
生きていく上で食事は絶対に欠かせませんが、今は色んな補給の仕方があって、食事に費やす絶対的時間、或いは食に対する思いも千差万別…
だから極限まで時間や労力を削いで生きるためだけに栄養を接種する事が出来ない訳ではありません。
ですが、この作品は生きる時間をほんの少し食事に回すことで極上の時間と気分が味わえることを教えてくれるんです。
見ているこっちのお腹まで空いてくる作品…
そう思える理由の一つに、登場するメニューが私たちと非情に馴染みの深いものばかり…という事が挙げられると思います。
カレー、ロースカツ、メンチカツ、テリヤキチキン、エビフライ、ビーシチューにミートソースやオムライスやコロッケなど…
メニューを聞いただけで身体に刻まれた美味しさが思わず反応してしまう…そんなメニューが次から次へと出てくるんです。
そう考えると、見ていてお腹が空くのは当然なのかもしれませんね。
香辛料は食事を美味しくしたり、食欲を増進する効果があると聞いた事があります。
この作品、まるで香辛料の様な作品に思えてなりません。
この作品から滲み出る食の美味しさが気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、Wake Up, May'n!(Wake Up, Girls!×May'n)さんの「One In A Billion」
エンディングテーマは、安野希世乃さんの「ちいさなひとつぶ」
どちらの曲もお気に入りです。WUGとMay'nさんのコラボは新鮮だし、安野さんの曲を初めて聞いた時、
しっとりとしたメロディーもさることながら「あれ、加藤…?」と反応してしまうほど印象深い曲でした。
1クール12話の物語でした。
物語は綺麗に纏まっていましたし、作画は綺麗さはもとより声優さんも豪華だったのでただただ堪能させて頂きました。
こういう作品には今後も沢山巡り合えたら…と思っています。