黒猫 さんの感想・評価

4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

またまた賛否の多いアニメとなったKey作品。相変わらず世界観は面白い。

この間リトルバスターズ!を見終え、なんだかんだ自分はKey作品の世界観が好きだと感じました。
これでエンジェルビーツと合わせて2作品。
次は新しめで1クールで見れるシャーロットを見ようと思いました。

設定は思春期に発症するという一時的な超能力を持った主人公が、ヒロインや仲間と共に超能力者である事の過酷な運命に立ち向かって行くお話。
主軸は主人公の成長とヒロインの心の解放といったところ。
※ここからKey作品としての考察です。ちょっと長いです笑

これまでのKey作品と違うと感じたのはまずこの主軸というかこの作品から伝わる主張の部分。
他のKey作品がストーリーを通して家族愛（クラナド）、生きること（AB）、友情（リトバス）、といった私たちの人生に関わってくるテーマを強く投げかけて来たのに対し、シャーロットは主人公達のストーリーがメインで、純粋に物語の展開を楽しむような作品でした。
Keyが苦手な人は見やすいと思いますし、好きな人には物足りないと思います。
良い意味でも悪い意味でも、Keyらしさは薄い作品かと。
個人的にはKey作品としてではなく、普通の作品として楽しめました。

そして賛否両論あるのがストーリー構成、というか配分。
ABでも同じような事言われてましたが、前半の日常回に半分もしくはそれ以上費やしたせいで、後半のシリアスで鍵となる部分が十分に描き切れないという点。

作者の麻枝准さんはこういう展開が好きなのでしょうね。
クラナドやリトバスもそうですが、前半の日常や他愛も無いやりとりに長い尺を与えることで、後半のシリアス展開をよりドラマチックに、より共感出来るようにと考えているのではと思います。
日常が好きな私にとってはよく分かります。

ただクラナドやリトバスは3クールという長い尺があるためそれでも良いですが、ABやシャーロットのように1クールしか無い場合はなかなか攻めた構成ですので、批判が来るのも分かる気がします。
どうしても回収出来てない伏線とか設定とかが出て来てしまいますので。

私個人としてはABは尺の足りなさはそこまで重要じゃないかなと思っています。
確かに他のメンバーの過去とか世界の説明とか詳しく知りたい部分も有りますが、ABは生きることについて視聴者に考えさせることを前提とした作品だと思うので、分からない部分があるのも視聴者に委ねるという点で一興だと思うからです。
ただ今回のシャーロットは視聴者にあるテーマについて考えさせるというより純粋に物語がどう展開していくのかを見てもらいたいストーリーなので、回収されてない部分が有ると強くモヤモヤや不満が残るかなと感じました。
メッセージではなくストーリーで感動させたいのに、ストーリーに穴があるのはちょっとね。

なのでこの作品に至ってはまどマギのように序盤からシリアス展開を入れて、感動や共感よりもストーリーの完成度を高める事を重視すべきだったかもしれません。
日常からのシリアス展開はとても好きですが、シャーロットには合わなかったかなと。

そういう意味で、Keyらしい構成では有りましたが、その構成が合わないと思う点で、これまでのKey作品とは異なる作品だと感じました。

とは言っても設定やストーリーは面白かったし、11話以降の駆け足展開も私としては許容範囲でしたが、もっと評価されてもおかしくない世界観だったので、少しもったいないかなーという感じです。