いまぐか さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:今観てる
不安定で美しい、宝石たちの物語。
原作既読です。
めっちゃ面白いです。漫画買おうね(ダイマ)。
このレビューは「まだ宝石の国見てないけどなんか気になるわー」という方を対象に書かれております。
「宝石の国全然興味ないわカスボケ」という方は、とりあえず原作者、市川春子先生の「虫と歌」という短編集を読んでからもう一回来てください。「虫と歌」は最高。生きてて良かったってなる。マジで買った方がいいですよあれは本当に最高でどこが最高かっていうと38ページの(ry
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本作品の主人公たち『宝石』は、全身が宝石で出来た不死の存在。
少女のような美しい外見をしていますが、全員無性であり、男も女もありません。
原作者、市川春子先生はどこかのインタビュー記事で
「上半身は少年を、下半身は少女をイメージして描いている」
と述べており、彼ら(便宜的に彼らと呼びます)の独特なバランスで成る身体はどこか艶めかしく、見る者を躊躇させるような神秘的な美しさを醸し出しているのです。
そんな宝石たちを狙い、遠く月から訪れる『月人』たち。ヒョロっとした仏像みたいな見た目の奴らです。非常にキモい。
奴らは空から宝石たちを狙い、矢で貫き、砕き、装飾品にしようとしています。それに対して宝石たちは刀で応戦し、日々戦闘を繰り広げているのです。
さて、そんな本作の魅力的な点は、
「引き込まれるストーリー」
「美麗で儚いキャラクター」
であると僕は思います。
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ストーリーに関して。
めっちゃネタバレです。
アニメ化されない先のストーリーまで言及します。
読まなくてもこの後のレビューは読んでいただくことは可能です。
自分の目で確かめたい方は絶対読まないでください。
{netabare}
宝石の国は現在連載中ですが、最新話では主人公、フォスフォフィライトは月に行ったりしています。
なぜか?
月人の正体を暴くため。
は? ってなりませんか?
そう、この作品、一見何もなさそうな顔してストーリーにめちゃくちゃ起伏があるのです。
読者の予想を裏切って裏切ってまた裏切って、意表を突いてどんでん返しは朝飯前、主人公なんてどうなったってしらんしらん。作者お前は鬼なのかと罵声を浴びせたいほど翻弄されます。
主人公が海で両足失って、全然違う鉱石くっつけたら急に身体強化されて。
そのうち両腕も無くして、そこにあった金塊くっつけたら触手みたいにして使えるようになって。
かと思えば首から上だけ月人にパクられて、仕方ないから首から下だけ持ってかれたやつの首くっつけて見たら102年越しに目覚めて。
首から上のやつの影響でめっちゃ賢く聡明になってて。
金剛への猜疑心が膨らんで、自分が月に行って確かめようと思いついて。
最初の可愛く無邪気で小憎らしいあのフォスはどこへ行ったの……?
彼の突飛な行動の数々を見たい方はアニメ見ようぜ。又は漫画買おうぜ。
{/netabare}
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キャラクターについて。
『宝石の国』の世界に人間はいません。
宝石たちの数は占めて28名。月へ連れていかれた者を除けば、地上にいる宝石の数はもっと少なくなります。
ここで僕が推したいのは、宝石たちの「精神的な不安定さ」です。
宝石たちの社会は非常に狭く、お互いの関係は家族のように親密です。しかし宝石に親はおらず、「金剛」という宝石が親代わりをしています。
中性的な容姿が多い宝石の中で唯一金剛だけが男性寄りであり、僧侶のような格好をしています。
そして宝石たちの行動原理のそのほとんどが、「金剛への親愛」なのです。
たしかに、月人に奪われないように戦う、というのはあるでしょう。しかし彼らが仕事をこなすのはひとえに「金剛に言われたから」であり、そこに自分の欲や思惑と言ったものはありません。
これがどれだけ不安定か。どれだけ脆いか。純粋な愛情からの行動は、一見美しいですが、少し踏み込んでみるとそこにあるのは狂気です。
自分が無い従順さは、行き過ぎれば狂信でしょう。
そんな彼らのちょっぴり歪んだ行動原理は、見ていてハラハラする時もありますが、真摯さに胸打たれるシーンもしばしばです。愛だけで動くのは人間には不可能であり、だからこそ美しく、心動かされます。
危険で不安定な美しさを知りたいと思われたら、アニメ視聴をお勧めします。あ原作買って読んでも全然良いと思いますよ(ダイマ)。
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以上、宝石の国レビューでした。
本当に面白い作品で、より多くの方に楽しんでいただきたいです。
ご精読、ありがとうございました。