oneandonly さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
理想を追求する意味と力
世界観:7
ストーリー:7
リアリティ:5
キャラクター:6
情感:6
合計:31
1期のレビューの続きです。
今回、このルートで理解が深まったのは、{netabare}士郎が他人助けに固執することや「正義の味方」を目指す理由。
20話、21話あたりだったと思いますが、士郎が、自らの崇高かつ非現実的な理想が、切嗣に由来していたものと認識し(その上で、正義の味方を目指す)、同じ理想を目指して挫折した人間時代のアーチャー、さらにFate/Zeroを視聴していれば、切嗣にもつながっていくという、重厚な作りになっています。
Fate/Zeroでも一つのテーマとなっていた「たくさんの人を助けるには、少ない人の犠牲が必要」は、原作から既に描かれていたのですね。
アーチャーが士郎の未来を、自分が過去の士郎だと言わんばかりに挫折すると断定して語る姿に違和感がありました。
士郎の言っていることは確かに子どもじみた、非現実的な理想論だと思います。しかし、切嗣やアーチャーの失敗が、士郎の理想を破壊できるだけの普遍的合理性を持つのかと言えばNOでしょう。
「正義の味方」という言葉自体に偽善なイメージがありますが、要するに多くの人のために、平和で安全な、より良い世界を作っていきたいという理想を描いた人たちは世界中にそれなりの規模でいたと思います。そして、彼らが、失敗を積み重ねて、失敗を次に活かして、そういった理想を可能な範囲で現実化してきたのが現在の社会だと思います。
理想を描く人がいなかったら、今の日本のような社会は出来ていないでしょう。士郎も自分自身の甘さを認識した上で、それでも理想を貫いた姿は、見ていて清々しいと思いました。当然、こちらの理のほうが力があるわけで、アーチャーとの戦いでもそれが演出されていました。
重いテーマを真面目に扱っていて好印象でした。セイバールートより中身が濃かったです。
まあ、士郎が数多の英雄を全く問題にしなかったギルガメッシュまで負かしてしまうのは想定外(Zeroとスタジオディーン版視聴者には衝撃的)。やや、士郎の能力を盛り過ぎた気がしましたが、ストーリーを全きものにするためにはこれでも良いでしょう。{/netabare}
前述の観点から、1期から2期で評価が上昇しました。「少年よ大志を抱け」という奴ですかね。年を取れば、夢を追うのを見切ることも選択肢としてあって、どっちが良いとも言えなくなってくるものですけれど。若いうちに見るべき、良作だと思います。
<2019.1.27追記>
世界観の評価基準の変更に伴う修正です。
(参考評価推移:13話3.7→20~最終話3.9→調整3.8)
(2017.10視聴、2019.1調整)