「虐殺器官(アニメ映画)」

総合得点
74.3
感想・評価
254
棚に入れた
1865
ランキング
928
★★★★☆ 3.8 (254)
物語
3.8
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.6

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ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

虐殺の言語

【微修正。大意に変更はありません】

伊藤計劃作品アニメ化の三作目。

一人称で描かれる、情報量の多い原作小説のビジュアル化に、よく健闘している。

原作から膨大な思弁を伴う重要エピソードを大きく削り、ビジュアル化可能な行動=アクションで物語を語る手法だが、思弁=言葉を大幅に制限されながら、簡易化することなく虐殺をめぐるストーリーをとりあえず語りきったとは言えそうだ。

そのビジュアルに関しては、次々に登場するガジェットやテクノロジーに過剰な解説をすることなく、映像だけで機能を理解させていく手際は見事で、製作者の映像センスの確かさを窺わせる。

世界で頻発する虐殺の謎を追う物語は、冒頭のジョージア=グルジアで、ほとんど全ての観客に理解できないであろうグルジア語の中に放り込まれる導入から始まり、チェコ、インド、アフリカと、各地の言語の中に送り込まれることで、異言語に象徴される敵性地へ侵入する特殊工作員の皮膚感覚を表現するとともに、観客に「言語」への意識を喚起する巧妙な仕掛けが施されている。
(外国へ行ったとき、現地空港に着いた途端に周囲から「日本語」が消えている事に気付き、「外国」へ来たと強く意識する感覚を思い出させる)

一方で、英語の「文書」が必ず瞬間的にしか表示されないのは、アメリカ人という設定で日本語セリフを話す主人公を観る日本語話者の観客が、英語を「読もう」として外国語=異言語だと意識してしまわないようにする計算だろうか。
外国人を主役にした日本アニメに付きまとう問題だが、本作では英語が「自言語」と了解されていなければ具合が悪い。

「言語」に対する慎重な配慮を持った描写は、勿論、本作の主題に直結しているからだ。



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投稿 : 2017/11/11
閲覧 : 514
サンキュー:

4

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