空知 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
秀作だがエンターテインメントとしての魅力が若干足りない
原作未読。
第1話から会話による情報が多いので集中力が必要だと感じました。
しかも会話内容が難解であり、ジッと聴いていないとすぐに話が理解できなくなるため「疲れる」というのが第一印象でした。
まず、音響面で若干苦言を呈したくなる作品であったことを最初に指摘しておきます。「会話による情報が多い」作品は好みの問題ですし、個人的には好きなジャンルです。
しかし、声優が話をしている時にBGMや効果音をもう少し控えめにしてほしいとこれほど思った作品はありませんでした。特に第1話から第3話あたりの一番集中を強いられる重要場面での会話に音楽や効果音を被せたことはイライラしました。
(この問題は、私が視聴していた関西テレビが第1話の25分30秒を24分に短縮していたことが友人の指摘で分かりました。この事実を客観的に確認しました。よって制作者の問題ではありません。しかし、私の環境での視聴であり、評価は変えません。ですが、音響面の点数面だけは、90秒の短縮なら制作者側の問題ではないため、音響の点数評価のみ変更しました。)
第1話では、EDが流れている時にも重要な会話が続くので、テレビ単体のスピーカーでは声を聞き取りにくく、イヤホンに切り替えました。以降、全てイヤホンにて視聴。
頭を使う作品は好きですが、聴覚の疲労まで感じたため視聴するのが苦痛になってしまいました。
個別の環境差もあるでしょうが、液晶テレビのスピーカーは音質が悪いのが一般的ですし、特別なスピーカーを接続して視聴できる人ばかりではありません。私のテレビにはイコライザー機能も付いていないため、会話の周波数帯のみのゲインを上げることができません。
(絵の色なら、キャリブレーションソフトを使えば制作者が意図した色をほぼ忠実に画面に再現できますが、音に関しては基準がありませんので、環境による個人差もあることを念頭に音響効果とその音量を考えて作成して欲しかったです。)
登場人物の能力を組み合わせながら問題を解決していくのはとても興味深い内容ですし、基本的にツッコミを入れるような破綻もありません。
この作品を理解するためには、登場人物の能力を正しく理解する必要があります。
特に、主人公とヒロインの特殊能力はきちんと頭に入れないと話が分からなくなります。
しかし、その能力に関する説明がアニメ内で若干不足しているため、考え込んだりしました。
第4話目あたりまでに断念したとしたら、それは制作側の責任ではないかと感じます。
第1話から第4話あたりまでは、かなりの集中力が必要でした。
設定は極めて興味深いのですが、「疲れるアニメだなぁ」という印象が特に見始めた時に感じてしまったことは否めません。
視聴者を疲れさせる作品は、内容が良くても支持されません。
この作品の残念な点です。
ホント、脳が疲れて、視聴しながらキットカットを食べたくなりました(作品を観た人にはなぜキットカットなのか分かるはずですw)。
主人公とヒロインがどういう動機で能力を使うのか?という初期設定が不明瞭なため、観ている者を引きつける力が少ないという面もこの作品にはあります。よーく会話を聞いていると若干この動機も出てくるのですが、曖昧模糊としています。
ですが、全体的に、秀作だと思います。
ストーリーは非常に優れているため、4.5をあげたいのですが、能力の説明不足があったため、4.0とします。
絵は綺麗です。赤色系から黄色系の暖色を控えめにし、青色系から緑系の寒色、無彩色の「白」「灰色」を意図的に多用しているために、作品全体が「誠実」「冷静」「理知的」といった地味で落ち着いたイメージを与えます。作品の雰囲気に合った色指定は非常に良い。第21話で、「春埼がケイにどんな色が好き?」と尋ねている部分がありますが、その場面での色具合と、直後の色具合が突然変化する点など、色指定にこだわって制作されてことが伺えます。4.5
OP、EDは良。4.0
声優は、花澤さんがあの平坦な演技を続けたことは花澤さんにとっては大変だったのではないかと思います。石川界人さんの演技は主人公の持つ冷静さと知性を表現する優秀なものでしたし、悠木碧さんの謎めいた演技も素晴らしかった。台詞の量から考えて、2クールさぞ大変だったことは想像に難くないので、4.5
最終話でヒロイン2人が主人公への思いをぶつけ合うシーンが感動的でした。
感情がまるでなかったかのような女子が、少しずつ感情を持っていく姿が良かったなあ。よって、キャラは3.5とします。
実際は4.4くらいですが、減点法で4.1となってしまいました。
本作のテーマは何なのか?をずっと考えているのですが、分かりません。
「正義を貫くこと」と「他者への思いやり」なのかな?
しばらく考えてから、自分なりの答えが出たら、レビューを更新しようと考えています。
能力のネタバレ
{netabare}
◎春埼美空の能力:リセット
*世界の時間を最大72時間前に戻すことができる。
時間を巻き戻すのではなく、全ての物質(他者の脳も含めて)を過去の状態に配置しなおし、過去の時間を厳密に再現する能力。従って、タイムリープではない。
(観ていて感じたのですが、現実の時間は流れていると捉えてもいいと思います。このあたりの説明がないので、タイムリープと勘違いしてしまいそう。)
リセットの制限事項:
1. リセットするためには、春埼が特定の時間を「セーブ」しておかなければならない。(PCの状態をセーブしておき、何かあったらそのセーブポイントに戻れるような感じですね。)
2. セーブの効果は72時間で切れてしまう。
3. リセットを一度行なうと、次のセーブは24時間経たないとできない。
(つまり、同じ時間を永遠に繰り返すことはできない。)
4. リセットすると、春埼自身の記憶も失われてしまい、リセットしたことを覚えていない。)
5. セーブポイントとセーブ内容は、リセットすると失われる。注意深く観ていると分かることなのですが、作品中での説明がありません。公式では、この制限に触れていました。なぜアニメ内で説明しなかったのでしょうか?
http://wwwsp.sagrada-anime.com/keyword/ の「リセット」参照
◎浅井ケイの能力:記憶保持
*過去に見聞きした全てのことを覚えており、春埼がリセットしてもリセット前のことを覚えている。
これ、すごい能力ですよね。本を読んだら絶対に忘れないのですから、世界で最も能力ある人間になれます。こんなすごい能力持っていたら頭脳優秀なのは当然です。一つだけ能力をくれると神様が仰ったら、僕はこの能力が欲しいです(笑)。
春埼はリセットしたことを覚えていないので、ケイが覚えており、二人が協力することによって様々な問題を解決していきます。
その他、村瀬陽香のコール対象物消滅能力、中野智樹の時空超越の特定対象者へのメッセージ転送能力(リセット後も効果が残っている)など、様々な能力とその制限事項を理解しないと、本作を理解できない。
多様な能力オンパレード作品です。管理局の人間も含めると、能力の組み合わせによって不可能なことはないのでは?
◎アニメ内での説明不足な点(これが視聴者を混乱させたんじゃないか?)
この二人の能力をしっかり理解していても、アニメ内だけの説明だけだと、例えば第3話~第4話でアレアレ?になってきます。
7月12日(2回目)とか7月15日(3回目)と出てくると、このあたりでわけが分からなくなってきます。
第1話でケイが「同じ時間を繰り返すことはできないんだな」という言葉があるため、これに引きずられてしまい、第4話目あたりまでで脱落した人もいるんじゃないかと思います。
これは実際には違います。作品中でケイが春埼に確認し、「同じ日に2回とか3回戻ったりすることもできるってことになるね?」というやり取りがあったら良かったのにと思います。セーブ即リセットもできるわけですから、そういう点をもう少し第1、2話で詳しくやったほうが良かったと思います。
でないと、タイムリープと混乱してしまいます。
{/netabare}
主人公やヒロイン2人についてもう少し書きたいこともありますが、長くなるので、これにてレビューを終わります。