◇fumi◆ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
これはゲーム?いえ、たぶん現代を写したそうあるべき文学スタイルの発端。
2017年公開の劇場版ソードアートオンライン・オーディナル・スケール 119分
原作脚本 川原礫 監督脚本 伊藤智彦 制作 A-1 Pictures
作者は2002年から08年まで自身のサイトで小説「ソードアートオンライン」を発表し続け、
07年には小説投稿サイトに発表した「アクセルワールド」(改題後)で電撃小説大賞受賞。
2009年に「アクセルワールド」で小説家デビュー、直後に「ソードアートオンライン」の刊行も始まる。
両作品ともゲーム・アニメ化、SAOは全世界で2000万部売ったとか。
内輪受けだけで賞が決まる狭すぎる世界だった文壇をネットで世界規模に広げた作家第一号かもしれない。
原作未読だけれども、アニメを観る限り過去の文学性とはかけ離れた、
読者との双方向な制作姿勢がうかがえ、後の「なろう系」の根本が見える。
という前置きで、たぶん自分のような古い人間には理解できない創作の妙があると考えなくてはならないと思う。
本人も、読者第一に考え、設定を次から次へと後付けしてしまうと言及している。
以上のことからこの作品は個人が評価できる範囲を超えた大きな文学と推察しました。
第2期に関してあまり良い評価をできなかった自分ですが、
双方向文学のありようについて理解が足りないことを知りつつある次第です。
この劇場版に至っては国家プロジェクト規模の取り組み様を呈するという。
過去の文学のような完成度はこのストーリーには無い。
これは読者が望む絶対多数の物語として考えられたもののようです。
だから驚きも感動も過去のものさしでは測れないと思いました。
その謎の文学を最高級のアニメ技術で映画化したものがこれです。
大人として範囲を広げて評価しようという姿勢が無ければ低評価の酷評になる可能性がありましたが踏みとどまりました。
この作品はただ者ではないのです。
絶対多数を理解するという姿勢は、創作を愛する者にとって重要なことです。
無視すると言うことは、未完成な自分という殻に閉じこもると言うこと。
20世紀日本文学を吹っ飛ばしたこの作品を愛するにしても嫌うにしても、
まずは見届けることが必要だと思いました。
さて、視聴者は誰に感情移入してどのシーンで心を震わせるべきなのでしょうか?
ここには現代という様々な見方が出来る未完成空間があります。
個人が作った物語でない以上、個人で批評することは無理ですが、
まずは、第3期を観とどけなくてはならないという気持ちを膨らませた劇場版でした。
未完成であることが完璧になりうる条件であった優れた劇場作品と位置付けておきます。
内容に関しては述べません。
素晴らしい物語とは思えませんでしたが、観る側の資質によって大きく変化すると思われます。
次の視聴では私も成長した状態で観れるか?楽しみではあります。