チョビ0314 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
このお綺麗な作品達に一喝を!
最初この作品を見た時は「あ…コレ合わないヤツだ…」って即切っちゃったんですよ。
で、友人レビュアーさんのレビューを拝見して興味が湧き、意見交換後視聴を開始…いやぁ真面目に見てみるもんですね。非常に面白い!
まずストーリーは異世界転生物なので有りふれているけど、入り方からその後の展開まで色々新しい。
{netabare}ヒキニートが勘違いで死亡し死後の世界へ、そしてロクデナシ女神にイラっときて勢いで異世界への道連れにし、意気揚々と冒険者ギルドへ向かうも文無しだから登録料が払えず即つまづき、仕方なく赤の他人様にたかって金の工面…でもやっぱり金が足りないので地道に土方仕事に精を出す。だがその日暮らしはイカン「これからは冒険者としても頑張らねば!」{/netabare}となりました。(ここまでを第一話に詰め込んでるって結構スゴい)
これってご都合主義への痛烈なアンチテーゼですよね。
ただ誤解のないように書きますが、別にご都合主義でも構いません。しかしそれは「そのご都合主義に納得が出来るかどうか」が重要です。
ハーレム物等も同じでして、そうなるだけの理由付けがしっかりされているならOKな訳です。
さて作品の話に戻ります。
このすばの場合はご都合主義に真っ向から現実を叩きつけました。
まず生きてゆくにはお金がいるので仕事をしなきゃいけない、仕事をしたらお金になる、お金が出来たら多少は遊びたい、お酒を嗜んだりちょっと贅沢したり。
同時にお仕事をしたら汗をかく、汗をかいたら銭湯で汗を流し、お腹も減るからご飯を食べる、お金はその分目減りする…以下無限ループ。これって現実社会と一緒ですよね。(銭湯描写がお色気目的に使われないのが巧い)
異世界で当たり前の営みを描かれれば「この世界は甘くない」って納得がいきますよ。(甘くないが、緩く生活して甘えてるヤツは多数居る!)
そしてその描き方が基本的に下世話でより親近感を沸かせるのも巧みな手法ですね。
キャラクターにおいても描き方が良いです。
主人公は元ヒキニート、パラメーターは運以外は非常に平凡、ただ意外と地道に仕事もするし頭もそれなりに切れる。(小狡いともいえますがそこが良い)
ヒロインは三人居て全員に共通しているのがパラメーターが非常に高い…高いのだが其々が致命的な欠点を携えています。
問題を抱えているからこそ工夫をしなきゃダメですし、使える手札が少ない中どうにかやりくりしてトラブルを乗り越えた時に余計魅力を感じます。
ここで結構重要なファクターになっているのがキャラクターの容姿や振る舞いで、これでもか!って位テンプレートなお色気を振り撒きます。
やたら見えそうで見えない下着や無駄に揺れる胸、ダメダメすぎる各々の性癖や趣向。
普通あざと過ぎれば見てて嫌になりがちだが、このすばの場合は敢えて見せつける事でギャグに繋げるから受け入れてしまいます。
こういうのってファンタジー世界に詳しい程面白く感じるから、既存の異世界冒険物に飽きている人は余計に楽しめたのではないでしょうか。
全十話を基本的に一話で物語を区切る展開で描き、数々のお約束を笑いにしつつある程度の答えを出してくれた本作。
その中でも特に感心したのが、サキュバスが経営する{netabare}淫夢サービスを提供する{/netabare}お店のエピソード。
色々な作品を見ていて、特に女性キャラが「普通そんなに露出の多い服なんか着てたら襲われちゃうでしょ」という疑問に対する答えを見事に描いていました。
しかもお色気お風呂回なのに見事なギャグに仕上げている。いやはや素晴らしい!お見事です。
音楽はBGMを含め普通で作画もそれなり。ただ魅せるべき所ではしっかり良い作画で動かして惹き付けますが、同時にそれが滑稽にも感じ笑いを誘います。
全体的には平均的に作られていても、展開のテンポが良く各話で話が区切られていて息抜き視聴に向きますし、一度見ていれば映像なしでも理解できる程度に喋ってくれますので、BGM代わりに流しても良いでしょう。
そしてやはり一味違った異世界物を楽しみたくなった時は、是非本作をお勧めしたいです。
最後にこの作品を勧めてくれた友人レビュアーさんに深く感謝します。ありがとうございました。
加筆
書き忘れていた事なのですが、サキュバス回でカニを食べるシーンがあってカズマが魔法で小さい火を点ける場面がありました。
普通ファンタジー世界だと「火打ち石」や野外ならそれらの石を入れた「火口箱(ほくちばこ)」等のアイテムで火を起こします。
そこをカズマが魔法で火を点ける事により、語らずとも魔法さえ使えれば日常でも容易に火起こしが可能であると視聴者に示した様に思います。
更に着火が容易ならより一層の燃焼が可能であり、お風呂のお湯を沸かす際に魔法使いが薪などの火力を調整する仕事があっても不思議ではないかもしれませんね。