Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
さぁ 大穴(アビス)へ…
この作品の原作は未読です。
今期、私の中でPrincess Principalと1,2を争うくらい高評価だった作品のもう一つがこの作品です。
この作品にも1話目から引き込まれました。
第一印象はキャラデザは普通…ですが、圧倒的に緻密で繊細な背景の作画と、独創的な音楽…
それに起用されている声優さんが富田美憂さんに伊瀬茉莉也さんだったのも拍車をかけていたと思います。
この物語の舞台はポツンと海に浮かぶ孤島…
でも島の中心部には島の大部分を占めるほどの巨大な大穴が開いているんです。
人々はその大穴を「アビス」と呼んでいました。
アビスの大穴は果てしなく深く、最深部は人類未踏の地とされてきました。
だからアビスは完全に解明されてはいない上、中では「遺物」と呼ばれる現代技術を遥かに超えた人工物が数多く眠っているんです。
こんなロマン溢れる場所を人間が放っておくはずがありません。
やがて大穴の周囲に街が生まれ、そこから多くの「探窟家」たちがより奥へ…そしてまだ誰も見たことのない遺物を追い求めて日々アビスに挑戦し…今に至っています。
でもアビスは「探窟家」たちにとって決して甘い場所ではありません。
複数の層に分かれたアビスは、深くなればなるほど呪いが「探窟家」の首をじわりじわりと絞めていく…
その上、命を狙う生物が虎視眈々とこちらを窺っている…
だから一度アビスに入ったなら一時も気を抜く事はできません…
だってそれが自分の死に直結するから…
この物語は、探窟家見習いのリコが、ロボットの少年であるレグと一緒にアビスの奈落を目指して旅する物語です。
常に命の危険と隣り合わせの探窟なので、不用意に命を散らさない様に様々な決まり事があります。
探窟家は笛を首からぶら下げること…
探窟の経験を積むことによって笛の色が変わり、これに伴い潜れる深さが変わること…
そしてリコはまだ探窟家見習いなので深界1層450mまでしか潜れない「赤笛」
深度制限の無い「白笛」になるまでには、きっと途方もない時間と経験が必要な事でしょう。
それに時間を掛ければ良いというモノでもないのでしょう…
アビスから祝福され、生き延びるという強靭な幸運若しくはそれに匹敵する何かを持ち合わせていなければ到達できない…それが「白笛」が見る世界なのだと思います。
でもリコには白笛になるまで奈落を目指すのを待っていられない理由がありました。
きっと本当は今すぐにで飛び出したい…
そんな事を考えても全然おかしくないような奇跡がリコの元に舞い込んできたからです。
毎週の視聴が楽しみで仕方なくて…
リコの…レグの…そしてナナチの涙に何度貰い泣きしながら視聴したことか…
どうしてこの作品にそこまで魅入られたのだろう…
どうして何度も心が揺さぶられたのだろう…
考えてみました。
これはあくまでも個人的な見解ですが、このアビスへの大冒険は私たちの人生そのものなのではないでしょうか。
生まれてヨチヨチ歩きの頃…まだ深界に潜れない「タマゴ」から始まり、層と層の狭間が人生の節目…
入学、就職、結婚、出産…
人は生きる術を学校や人から少しずつ教えてもらいながら成長して次の人生の節目を迎える…
だからアビスの途中で手にする遺物は、私たちに例えるなら人生をちょこっと豊かにしてくれる知恵だったり道具だったり…
例えば学生から社会人になると、モノの見方や思考そのものも大きく変える必要がありますが、これって、アビスの層を1層深く潜れたことと匹敵するような気がしてなりません。
だから私たちはいくつもの人生の節目を乗り越えて生きていく…
そして私たちの人生はどこまで行けるのか…どこに辿り着くのか…
それは誰もが知らないことで、これってまるでアビスの奈落を目指しているみたいだと思いませんか。
生きていると良いことばかりじゃありません。
時には身を引き裂くより辛い選択が待っていることだって…
初めはそんな選択肢すら無かった…
自分にできることは全部やった…
手を尽くして…八方塞がりになった時…人は何を考えるんだろう…
それは突拍子の無いことなのだろうか…
これまで費やした労力を惜しむんじゃない…
できるのは自分の不甲斐無さに…薄っぺらな限界しか持ちえない自分自身に激しく後悔することだけ…
だから、私たちは人生の中でたくさん迷うし、時に理不尽を強いられたり、場合によっては致命傷を負うかもしれない…
でも私たちは孤独じゃない限り救われる…
今は孤独かもしれないけれど、抜け出す手段はきっとあるはずです。
リコにナナチがいたように…
それを呼び寄せられるか…手繰り寄せて縋ることができるか…
きっとなりふりなんて構っていられないのだと思います。
だから振り落とされない様に必死にしがみつく…
リコもレグも生きるために必死な姿に自分のこれまでの人生が重複するから、共感できるし、感動するのだと思います。
人生におけるアビスの終着点では、一体何が見えるんでしょうね。
そんなリコとレグの大冒険…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
因みに私の一番のお気に入りはナナチでした。
オープニングテーマは、リコとレグによる「Deep in Abyss」
エンディングテーマは、リコ、レグ、ナナチによる「旅の左手、最果ての右手」
躍動感に溢れるオープニングアニメが大好きで毎回欠かさず視聴していました。
もちろん、曲も大好きです。
1クール13話の物語でした。
もちろん続編希望…というか、続編は絶対にあると信じています。