変態王 さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
変わってもいい、だけど変わらなくてもいい。
最終話のひかるの言葉だ。
全26話で本作が示してくれたものはたったこの美しきワンフレーズである。
変化/維持、大人/子供、世の中ってこんな二項対立ばっかり!
でも世界ってそんな単純じゃない。いや、それ以上に単純である、と。人間には色んな感情がある。そしてそれはとめどなく動き続け、混ざり合う。かと思えばシーンと静まったりもする。
私たちはそんな色々なものが混じり合った海に泳いで生きている。
人の想いはそれ程に自由自在に動き続ける。
好きになったり、そうでなくなったり、なんて自分勝手なのだろうか。
そう自分勝手だ。そしてそれはきっと誰かを傷つける。
だからこそ、必死に自分の想いに抵抗するものもいる。
みんなとの時間が「変わらないため」にもう好きでないものを好きでい続けようとしたように。
しかしその抵抗は実らない。想いは時間をまってくれなかったのだ。抵抗は想いの強さとその変身によって実らない。本作はひとの「想い」に抵抗することに失敗する物語でもある。そしてそれはひとの想いの自由自在さ=単純さを肯定し、「変わる」ことを肯定してくれる物語でもある。
同時に、自分勝手を貫くものもいる。「変わらない」選択をしたもの。作中ではそれによって結ばれ、あるいは救われるものもいる。これは「変わらない」ことを肯定してくれる物語でもあった。
さて、私たちはこのだだっ広い海で、自由自在に泳ぐか、それとも一休みするか、これからゆっくり決めていくことにしよう。