mkanime さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
Fate/stay nightの真骨頂の序章にふさわしいです!
PC版Fate/stay nightをプレイ済みです。なんといっても、構成が非常に上手い!!これなら原作の膨大な情報量の大半を描き切れるのでないかと思いました。若干の改変はあるものの、不自然さはあまり感じませんでした。
とはいえ、展開が早いうえ、説明なんて皆無なので、Fateルート、UBWルートを知らないと置いてけぼりを食らうことになります。また、是非Fate/Zeroも観てからこの作品を見てください!!映像だからこそ表現できたあの時のセイバーの心情に思わず目頭が熱くなるはずです!
Heaven's Feelルートで描かれるのは善悪や正義なんて生ぬるいものではなく、聖杯戦争そのものです。すべてを叶える願望器をめぐる争い、その争いに参加した時点で、善悪や正義なんてものはそもそも存在しない。これは単なる殺し合いや戦争の類ではなく、聖杯という力に縛られた中で繰り広げられる極めて利己的な人間と人間のぶつかり合い、つぶし合いなのだということ、その意味をプレイヤー、視聴者に疑似体験させるルートなのであって、これまでの2ルートのような寓話ではないのです。だからこそ、あの冒頭は素晴らしかった。{netabare}繊細なタッチで描かれたキャラ同士の何気ない、けれどどこかいびつな会話劇。そしてその記憶を、かけがえのない、取り戻したい日常として思い返している士郎。こんなに悲しい、美しい始まり方があったのか、と感激しました。土蔵で話す桜と士郎。彼らは別々のことを思い出しながら話し、言葉はすれ違っているのに、お互いを自分の良き理解者だと感じた。そしてそのことは、登場するすべてのキャラにおいて起こっている現象。そうやって紡がれてきたのがFate/stay nightという作品なのだと、そう主張するかのような冒頭でした。Heaven's Feelルートが異質なのではなく、HFルートは、傍観者である我々がいびつさに気づくルートであったに過ぎないのだということに気づかせてくれました。{/netabare}
また、戦闘シーンは大迫力です。音楽も、いや、音楽こそ素晴らしい!!!激しいときは激しく、優しいときは優しい、そんな楽曲の数々。そして、静寂。これには驚きました。会話だけが鳴り響く劇場。素晴らしいです。この作品は、絶対に、劇場で、観るべき作品です!!!{netabare}それから、かなりネタバレとなっているAimerさんの歌う主題歌『花の唄』。次第にディストーションの効いたギターバッキングが強くなってきて、一瞬の静寂ののちに解き放たれる人間の感情。Heaven's Feelにこれほど適した楽曲があるでしょうか?{/netabare}
これぞ、Fate/stay nightを締めくくる最高の作品の序章!!続く第二部、第三部を心から待ち望んでいます!!!!