蒼い✨️ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
メッセージのある作品だった。
【概要】
アニメーション制作:マッドハウス
2010年4月 - 7月に放映された全11話のTVアニメ。
原作は、森見登美彦による小説。
監督は、湯浅政明。
【あらすじ】
長い浪人生活を経て京都にある旧帝大の農学部に合格した「私」は、大学生協から紹介されたオンボロアパート、
古式ゆかしい下鴨幽水荘(しもがもゆうすいそう)の四畳半の畳部屋に居を構えている。
「私」には、「薔薇色のキャンパスライフ」が約束されているはずだった。だが一心不乱に勉学に励む一方で、
恋だの青春だのに程遠い十代を過ごし、非リア充としての位置を堅持し続けてきた「私」は社交性という名の、
対人経験値が圧倒的に不足していて、サークルに入ったのは良いが周りの空気に馴染めず、
色恋などとは、まさに無縁の日々であった。周りが浮かれ青春を謳歌しているなかで孤立していた「私」にも、
たったひとりの同志と言える男がいた。人をからかって弄ぶのが大好きな天邪鬼で見た目も悪魔のように、
不気味な彼は小津といい、「私」と小津は切っても切れない運命の黒い糸で結ばれた悪友なのである。
気がつけば、リア充どもを羨んでは小津と共謀して彼らの幸せに亀裂を入れるという無為で不毛な日々で、
二年間を棒に振ってしまい「私」は三回生となっていた。もし小津と出会わなければ感化されずに、
今よりマシな大学生活を送っていたに違いない!と後悔を抱きつつ、碌でもない顛末を「私」は迎える。
もし入学の日に別のサークルに入っていたら?きっと違う自分になれていたであろう!
あの日の決断で分岐した数多の平行世界で、その世界の「私」は碌でもない大学生活を繰り返す。
【感想】
京都大学出身である原作者が、京都市を舞台に母校と吉田寮をモデルにした小説が原作の面白おかしい物語。
見た目からしてサブカルアニメに違いない。キャラデザが尖ってるし台詞は主人公の長々とした、
独白が殆どであるし、妙に評価が高いのが不思議だと訝しげに思いながら視聴開始。
1話完結形式で主人公の灰色で奇妙な物語が繰り返される。なんだこれは?と思いながらも見続けていると、
実は全てのエピソードが繋がっていると気付かされる。全ては最終エピソードで感動を得るための、
くだらなくてグダグダした話の繰り返しなのである。環境をどんなに変えても、主人公は失敗してしまう。
要は心がけ次第、人を見る目が変われば世界は違った色で見えてくる。
これはプライドが高く自分の尺度で世界を見ていた「私」が本当に大切なものに気付いて成長する物語。
自分への好意等の色々な感情に素直になれなかったりや見栄などで蓋をして、
本来は既にそこに存在していた幸せを手折って台無しにしていたのは、「私」自身なのである。
作画のトリック。詳細は書かないが、最後まで観てみると映像は「私」の心象であると気付かされることがある。
最初は微妙なアニメだと思っていたのに、最後まで観ると人情の機微に通じた名作に思えてくるから不思議である。
これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。