でこぽん さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
若者が必死にあがきながら困難を乗り越えてゆく物語
このアニメは、3回も見直しました。そのたびに泣いたり笑ったりと、何度も何度も感動しました。
有馬公生と宮園かをりの苦悩だけでなく、澤部椿をはじめ相座武士や井川絵見、相座凪の心の葛藤も見どころです。
若者が困難にぶつかり、何度も何度も挫折を味わいながらも、必死にあがきながら少しずつ乗り越えてゆく姿は感動します。
宮園かをりの行動には、泣いたり笑ったりと、大きく振り回されました。
彼女は最初、公生たちに嘘をつきます。
その嘘がきっかけで、公生は再びピアノを弾き始めます。
かをりが嘘をつかなければ、公生は挫折したピアニストのままでした。
あの嘘は、かをりが命を懸けて貫いた嘘だったのです。 {netabare}
かをりと公生が、橋の上から川に飛び込むシーンがありますが、
あれは、見ていて爽快でした。
まさに青春といった感じです。こんな青春を過ごせれば幸せです(^_^)
それとは逆に、
かをりが入院し、見舞いに来た公生にヒステリーを起こすシーンは、見ていてとてもつらかった。
かをり自身も、それに気づき、「ごめん」と謝りますが、
彼女の行動が、ガンで亡くなった公生の母の行動にあまりに酷似していたため、公生も、うすうす気づいてしまいます。
かをりが一日だけ退院して公生と一緒に行動するシーンがあります。
あの思い出は、公生にとってもかをりにとっても、一生忘れられない思い出となったでしょう。
そして、病院の屋上で、公生がかをりに、もう一度一緒に音楽を奏でたいといったシーンは、いたく胸に突き刺さりました。
今度は公生によって、希望を失くしていたかをりが救われたのです。
さらに、東日本大会での公生の演奏、
あの演奏は、かをりに聴かせるための演奏です。
今までの幸せだった思い出がすべて音楽で奏でられた演奏でした。
だから彼の音楽は、綺麗な色に見えるのです。
{/netabare}
澤部椿の心の葛藤と行動力にも、大変感動しました。{netabare}
澤部椿は公生のことを弟にように思っていました。
椿の日頃の行動は、公生への思いが大半を占めます。
まわりからはバレバレですが、椿自身は公生をできの悪い弟のようなのでほっとけないと言い訳するのです。
だが、彼女は、ついに公生が好きだと気づいてしまいます。
そして、時計の針が止まったままだったのは公生ではなく、自分だったことに気づきます。
彼女は、ありったけの勇気を奮い起こして、公生に告白するのです。
彼女は、自分の力で、止まっていた時計の針を動かしたのです。
{/netabare}
相座凪の心の葛藤も、見ものでした。{netabare}
大好きだった兄の相座武士が、公正のスランプによって元気をなくします。
凪は公生を恨みます。
だが、ひょんなきっかけで公生とピアノを共演することになり、
練習のつらさと公生の偉大さを理解します。
そして演奏会の当日、公生の強引な導きで、凪の能力が開花するのです。
凪と公生の二重奏は、凪の心の気持ちが充分に表現されていました。
{/netabare}
井川絵見の心は、さらに複雑です。{netabare}
相座武士が公生のことをべた褒めしたとき、「あなたは本当の有馬公生を知らない」と言い放ちます。
実は彼女は小さい頃、公生のピアノ演奏を聴き、感動のあまり泣いてしまったのです。
彼女がピアノを始めた動機は公生であり、彼女の目標は公生そのものです。
彼女は、相座武士が知らない公生の真の実力を自分だけが知っていることに優越感を持っています。
しかし、彼女は心を素直に表現できないため、ついつい公生に厳しく当たります。
恋心とは違いますが、井川絵見にとって公生は、なくてはならない存在なのです。
{/netabare}